ニトロプラス キラル・でじたろう&淵井鏑インタビュー
昭和通りは乙女ロードに通ず?
「BLゲーム」が最近注目を集めています。“萌え”を中心に盛り上がった秋葉原に対して、池袋の乙女ロードを牽引するコンテンツのひとつ、“ボーイズラブ”を題材とした女性向けゲーム=「BLゲーム」は、主にPC用ソフトとして発表されていますが、最近ではその人気を受けて、家庭用ゲーム機への移植や、コミック化、アニメ化などのメディアミックス展開も始まるなど、大きな盛り上がりを見せています。
そのBLゲームの代表的なブランドのひとつが、『
いま最も熱いジャンルであるボーイズラブ・ゲームについて、Nitro+CHiRALのプロデューサー・でじたろう氏と、シナリオライターの淵井鏑(ふちいかぶら)さんに伺いました。
■Nitro+CHiRAL、誕生
Nitro+CHiRALの母体となったのは、美少女ゲームメーカー・Nitro+。美少女ゲームメーカーでありながら、「エロ」よりも「物語」を前面に出した作風が特徴。『ファントム-PHANTOM OF INFERNO-』『斬魔大聖デモンベイン』などのヒット作を送り出し、熱狂的な男性ファンを数多く獲得してきました。
――美少女ゲームメーカーであるNitro+が「BLゲーム」に取り組むにあたって、ライターの淵井さんを始めとした女性クリエイターの存在は欠かせないものだったと思いますが、「BLゲーム」というものとの出会いについて教えていただけますか?
淵井:BLゲームのさきがけとなった作品は、2000年の『好きなものは好きだからしょうがない!!』(プラチナれーべる)だと思っているんですが、製作が発表された時から、オフィシャルサイトに毎日通って「いつ出るんだ、いつ出るんだ」と期待していました。それまでも、ボーイズラブ描写がある作品はけっこうあったんですが、女性向けの18禁ボーイズラブゲームをプレイしたのは、それがはじめてでした。
――最初から「BLゲーム」を制作することを目指していたのですか?
「BLゲーム」という世界ができた瞬間に、自分はここに行くしかないと決心したんです。もともと、創作活動にあたってボーイズラブというジャンルを目指していたんですが、ゲームというメディアなら、絵もあるし、音楽もあるし、シナリオもある。自分たちがやりたいことが全部できる、と思って、当時は、ただの大学生でしたが、何のあてもなくゲームを作る準備を始めていました。
――そんな淵井さん達の情熱がきっかけとなって、Nitro+CHiRALブランドが設立されることになったわけですね。
でじたろう:『
もともと、僕は、女性ユーザー向けの作品は作りたいと思っていたんです。いまはたとえ小さくても「女性向け」という市場は確実に存在するし、僕自身、25年前からコミケに参加していて……「BLとやおいをいっしょにするな」と怒られそうですが……女性参加者のやおいにかける情熱というのは半端じゃない、というのは常々感じていました。だからいい作品を投入すれば、今後確実に伸びていくと思ったんです。だから、とてもいい巡り合わせでした。
淵井たちは、「腐女子」にしかわからない感性を持っていて、何よりボーイズラブというジャンルへの熱い情熱がある。一方、美少女ゲームメーカーである僕たちNitro+は、ボーイズラブについてはよく知らないけど、ゲーム作りのノウハウはある。だから、ある意味、両者が手を組む、という意識でやらせてもらいました。