ニトロプラス キラル・でじたろう&淵井鏑インタビュー

ニトロプラス キラル・でじたろう&淵井鏑インタビュー

昭和通りは乙女ロードに通ず?

「BLゲーム」が最近注目を集めています。“萌え”を中心に盛り上がった秋葉原に対して、池袋の乙女ロードを牽引するコンテンツのひとつ、“ボーイズラブ”を題材とした女性向けゲーム=「BLゲーム」は、主にPC用ソフトとして発表されていますが、最近ではその人気を受けて、家庭用ゲーム機への移植や、コミック化、アニメ化などのメディアミックス展開も始まるなど、大きな盛り上がりを見せています。

そのBLゲームの代表的なブランドのひとつが、咎狗とがいぬの血』『Lamento』という二つの大ヒット作を送り出しているNitro+CHiRAL(ニトロプラス キラル)。

いま最も熱いジャンルであるボーイズラブ・ゲームについて、Nitro+CHiRALのプロデューサー・でじたろう氏と、シナリオライターの淵井鏑(ふちいかぶら)さんに伺いました。

■Nitro+CHiRAL、誕生

斬魔大聖デモンベイン
2003年にリリースされたNitro+のPC向けタイトル。クトルゥー神話をモチーフにした舞台で巨大ロボ・デモンベインが活躍する。『機神咆吼デモンベイン』としてPS2にも移植された他、2006年にはアニメ化もされて多くのファンを獲得している。
  1. デモンベイン総合サイトDEMONBANE.com
    http://www.demonbane.com/

Nitro+CHiRALの母体となったのは、美少女ゲームメーカー・Nitro+。美少女ゲームメーカーでありながら、「エロ」よりも「物語」を前面に出した作風が特徴。『ファントム-PHANTOM OF INFERNO-』『斬魔大聖デモンベイン』などのヒット作を送り出し、熱狂的な男性ファンを数多く獲得してきました。

――美少女ゲームメーカーであるNitro+が「BLゲーム」に取り組むにあたって、ライターの淵井さんを始めとした女性クリエイターの存在は欠かせないものだったと思いますが、「BLゲーム」というものとの出会いについて教えていただけますか?

淵井:BLゲームのさきがけとなった作品は、2000年の『好きなものは好きだからしょうがない!!』(プラチナれーべる)だと思っているんですが、製作が発表された時から、オフィシャルサイトに毎日通って「いつ出るんだ、いつ出るんだ」と期待していました。それまでも、ボーイズラブ描写がある作品はけっこうあったんですが、女性向けの18禁ボーイズラブゲームをプレイしたのは、それがはじめてでした。

好きなものは好きだからしょうがない!!
2000年にぷらちなレーベルから発売された、初の本格的ボーイズラブゲーム。一般作としてPS2にも移植されるだけにとどまらず、小説、CD、アニメなどメディアミックスでも人気を得たBLゲームの先駆けとなるタイトル。
  1. ぷらちなレーベル
    http://www.platinumlabel.jp/

――最初から「BLゲーム」を制作することを目指していたのですか?

「BLゲーム」という世界ができた瞬間に、自分はここに行くしかないと決心したんです。もともと、創作活動にあたってボーイズラブというジャンルを目指していたんですが、ゲームというメディアなら、絵もあるし、音楽もあるし、シナリオもある。自分たちがやりたいことが全部できる、と思って、当時は、ただの大学生でしたが、何のあてもなくゲームを作る準備を始めていました。

――そんな淵井さん達の情熱がきっかけとなって、Nitro+CHiRALブランドが設立されることになったわけですね。

でじたろう:咎狗とがいぬの血』のもとになったのは、淵井が原画家のたたなかな達と学生時代から準備していた企画でした。人から紹介されて見せてもらったのですが、それは非常に有望な部分と問題のある部分を両方備えた、すごく熱いものだったんですね。

もともと、僕は、女性ユーザー向けの作品は作りたいと思っていたんです。いまはたとえ小さくても「女性向け」という市場は確実に存在するし、僕自身、25年前からコミケに参加していて……「BLとやおいをいっしょにするな」と怒られそうですが……女性参加者のやおいにかける情熱というのは半端じゃない、というのは常々感じていました。だからいい作品を投入すれば、今後確実に伸びていくと思ったんです。だから、とてもいい巡り合わせでした。

淵井たちは、「腐女子」にしかわからない感性を持っていて、何よりボーイズラブというジャンルへの熱い情熱がある。一方、美少女ゲームメーカーである僕たちNitro+は、ボーイズラブについてはよく知らないけど、ゲーム作りのノウハウはある。だから、ある意味、両者が手を組む、という意識でやらせてもらいました。

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