『デジ絵の文法』タイアップセミナー カリスマデジ絵師による初めてのデジタルイラストレーション

『デジ絵の文法』タイアップセミナー

ポニーキャニオンから発売中のDVD『デジ絵の文法』は、デジタルの筆を使って描かれるイラストレーション“デジ絵”を描く5人のデジ絵師達の制作現場に密着して、そのテクニックのすべてを収めたイラストレーター志望者必見の1枚です。

そんなデジ絵師の一人、okamaさんを迎えてイラストレーター志望者に向けた公開セミナーがアミューズメントメディア総合学院東京校で開催されました。ポニーキャニオン、ワコムの協力のもと『デジ絵の文法』DVDを上映しながらokamaさんのお話を伺ったトークイベントをダイジェストでレポートします。

⇒『デジ絵の文法』DVD公式サイト
⇒株式会社ワコム ペンタブレットホームページ

■デジ絵師、okama

写真

――まずは、okamaさんのデビューの経緯からうかがえますか。

デビューは20歳か21歳だから、12年位前かな……。学生だった頃にはデビューできませんでしたね。けっこう持ち込みをしたりしていたんですけれど、全部ダメで。他の作家さんから紹介された編集部で、賞に出してみようかというお話をいただいて描いたもので、賞をとって、連載をもらって…という感じです。

――okamaさんは、マンガ家としてデビューされてしばらくしてから、デジタル作画を始められていますが、デジ絵との出会いはどのようなものでしたか。

出会いというより、そこを目指していたという状態ですね。ずっとデジタルで描きたかったんですけど、お金がなくてパソコンが買えなかったんですよ。それで、マンガを描いて、単行本を出して得た収入でやっと始めることができました。

――デジ絵を始めるために頑張ったわけですね。やっと手にしたパソコンはそうとう大事にしたんじゃないですか。

そうですね、まだありますよ。ちょっと粗大ゴミに出したいとも思うんですけど(笑)。

――当時のパソコンだと、HDDやメモリも少なくて絵を描くには大変じゃありませんでしたか。

僕が始めた頃には、もう絵を描くには十分でした。ただ、さすがに1200dpiとか600dpiでは描けませんでしたから、もっと低い解像度でやってました。今は、マンガは1200dpiとか600dpiで描いています。それくらいないと線が綺麗じゃなくなってしまうので……人によっては2400dpiでやっていますが、それぞれですね。僕はポスターの様な大きい絵を描く時でも、B4くらいのサイズで作業しています。だいたいそれくらいあれば、引き伸ばしてもそれなりに見えるので。

――デジ絵を始めるようになってからのokamaさんの作品を見ていると、デジタルで作画するということがokamaさんにとってすごく大きなものだったんじゃないかと感じます。

デジ絵は楽しいですね。もともとゲーマーだったので、ゲーム感覚で試行錯誤できるのがいいんじゃないですかね。アナログと違ってやり直しが効くので、セーブして、違う所に派生して、それでまたセーブした所に戻って……みたいな。

■下書き~下塗り

――DVDでは、最初にokamaさんの使っている道具が紹介されていますが、特にシャープペンシルがクローズアップされていますね。

ドイツのステッドラーという会社のシャープペンシルの持ち手に、パイロットのドクターグリップのグリップだけを取り外してつけています。昔はティッシュで巻いていたりしたんですけど、ドクターグリップがちょうど差し替えるのに良くて。

――鉛筆は使われないんですか。硬いシャープペンシルだと、線を消したときに跡が残ってしまうので、アニメーターさんなどは鉛筆を使われることが多いみたいですが。

僕は子どもの頃からずっとシャープペンシルでしたね。鉛筆は削るのが面倒くさいじゃないですか。たしかに、消しゴムで線を消しても、跡が残ってしまうことはよくありますね。デジ絵の場合はパソコンに取り込んでから修正することもできますけど。

――下書きはコピー用紙に描かれていますが、描いた原稿はとっておかれるんですか。

全部とってありますね。捨てることはないです。押入れの下の段が全部、絵の描かれたコピー用紙で埋まってしまいました。奥のほうの段ボール箱の中なんて、虫が食ってるかもしれない(笑)。

――マンガを描かれる時にも、デジタルで作画されているんですよね。

ええ、マンガもデジタルです、ペン入れまでは紙でやって、あとトーンはデジタルで。スクリーントーンをスキャナで取り込んで貼りこんだり、自分で作ったパターンを使ったりと色々やってますね。僕の好きな砂のグラデーションのトーンが廃版になってしまったので、それを取り込んだりしています。

――マンガの世界でもデジタル作画が盛んになっていますが、編集部側の受け入れ態勢はどうですか。

『CLOTH-ROAD』を連載しているウルトラジャンプはデジタルを取り入れています。コミックスタジオのパッケージにも『ハヤテのごとく』の作者の畑健二郎さんが「これがなくちゃ描けない」と書いていましたし、最近はデジタル原稿でも大丈夫ですよ。

――Photoshopの使い方は、どうやって覚えられたんですか。

ゲーム会社にいた事があって、そこでドットを打ってました。メガドライブとか、3DOとかのソフトを作っていて……「3DO REAL」とかいっても解る人いないと思うんだけど(笑)。そこで、Photoshopを教えてもだったんです。隣の席に帝国少年がいたんで、分からない事があったら「ちょっと教えて」って。すごく上手い。

――DVDの中では、Photoshopのアクションスクリプトを多用されているのが印象的ですね。

だいぶPhotoshopを覚えた頃にバージョンアップでアクション機能がでてきて。いろいろなアクションスクリプトを作っていますけど、一番使うのはやっぱり「選択範囲を拡張して塗る」やつです。最後に選択範囲を解除してくれるのもいいんですよね。

――映像を見ていると、選択範囲の拡張に1pxのと2pxの2種類がありましたが、取り込んだ線画の内側より拡大しないと、塗り残しがのこってしまうからですよね。

そうですね。高い解像度だと、拡張する範囲も大きくしないといけないので使い分けています。僕はひとつひとつ塗る時に広げていますけど、人によっては全部塗り終わったあとに一気に広げて爽快感を味わったりしていますよ。

――アクションスクリプトで、作業時間が短縮できるメリットはすごく大きいと思いますが、デジタルを導入したことで、できることが増えて、仕事量も多くなったりはしないですか。

デジタルだと、仕事のペースが安定するのがいいですね。納品もデジタルデータで送ることが多いので、インターネットを介して、編集さんに会わないまま仕事が終わることもあります。

――グレースケールで作業をしているのは、データが軽くなるからということですが、カラーと比べて相当違うものなんですか。

自動選択ツールは全然違いますね。高解像度で作業していると、失敗したときのフリーズ時間が長くてイライラしますが、グレースケールなら大丈夫です。キャラのマスク(塗りわけ)は、グレースケールで作るのがいいですよ。パスを使える人はカラーでも大丈夫だと思いますけど。

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