「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」
第一回「いとそけんじはわがまま」
皆さん、はじめまして、こんにちは。人によってはこんばんは。 ボクは糸曽 賢志(いとそ けんじ)と申します。
普段は、まいぺーすにアニメーションを創ったり、漫画を描いたり、実写を撮ったり、老後の生活を真剣に模索したりしながら生きております。
さて、そんなボクは非常に「わがまま」でして、とにかく自分のオリジナルの作品にこだわっている気がしてなりません。
お仕事で、原作をもとに演出を頼まれても、大抵原形が残りません。
もちろん悪気があってやっているのではなくて、自分なりに原作を再構築した結果なのですが……。
そういうわけで、しがらみという手強い壁を気にせず自由に創れる「オリジナル作品」を暇さえあれば企画しています。
なかなか「オリジナルの企画」に予算が出たりすることって少ないですが、可能性はゼロではありません。
「えてして、作品は難産の末に生まれたほうが良いのではないか?」
なんて、最近考えているボクは、一度ダメでも諦めずに企画します。
そこでここでは、どうやって個人作家さん達が企画を通しているのかということや、企画書を作るコツをお話したいと思います。
ただ、ボクは企画屋さんではないので、言っていることが必ずしも正しいかどうかは分からないです。 けれど、すべてはボクが実際に色々な方々から学んだ経験論なので、参考になればこれ幸いです。
まず、企画を通して制作費を頂く為に用意したほうが良いものを書いておきます。
- 制作期間とスケジュール
- スタッフ編成、プロフィール、制作体制
- パイロットムービーの用意
- 予算見積り
- ターゲットと回収案
- 脚本と設定集の用意
こんなかんじです。 一見難しそうですが、まあ頑張れば何とかなると思います、たぶん。
これからは、2週間に1度くらいのペースで、上に挙げた1から6までを詳しく作り方を交えて説明したいと思います。
それが終わったら、もっと突っ込んだ話をしたいと思っていますが、あまりまだ決まっていません。 ですから皆さんも、あまり肩に力を入れたりしないで、紅茶でも片手にシャム猫でもひざに乗せながらリラックスして読んでいただけると嬉しいです。
ところで、もし皆さんが企画を作ったら、どんな人が見て審査するの?
って気になりますよね。
ボクは気になります、気になるので語ります。
企画を見るのは、大抵の場合がいわゆる「プロデューサー」と呼ばれる方々です。 皆様も一度くらい耳にしたことのある「お名前」ではないでしょうか??
そう、あのパステルカラーのシャツの上にセーターをかけて現れ「○○ちゃ〜ん、今日もイケてるね〜」 とか、「今日、仕事終わったらシースー行かない?」とか言って濃いオーラを全力で出してる人です。
実際のプロデューサーさんが、本当にこういうキャラなのかどうかは皆様にいつか自分の目で確かめていただくとして、プロデューサーさんというのは、主に作品を作る上で様々な決断をくだす方であります。
プロデューサーさんにも色々あるので仕事は多岐にわたりますが、予算の決定や、出演者や声優へのオファー、CMや雑誌に載せたりなどの宣伝も行います。
作品の制作費を集め監督やスタッフと一緒に完成させ、たくさんの方に見ていただけるように頑張るってことですね。
ボクは最初にも言ったとおり「わがまま」なので、いつも勝手な希望を言ってはプロデューサーさん達に助けていただいてます。
昔、宮崎駿監督にも言われたのですが、アニメや映画でいう「プロデューサーさん」と「監督(作家)さん」、漫画で言うところの「編集者さん」と「漫画家さん」は運命共同体のようなものですので二人三脚で信頼して仲良く作品づくりが出来るかどうかで、作品の完成度が大きく変わるのは事実です。
さてさて、話が色々な方向に伸びてしまいましたが、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。
それでは皆様、またお会いしましょう。
いとそ けんじ
- 糸曽 賢志(いとそ けんじ)
- 1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。
20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。
大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。
現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。
2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に
取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。
文化庁新進芸術家国内研修員にも認定されており、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
⇒加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
⇒クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
⇒糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)