「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」
第三十四回「アニメ演出のお仕事って…03打合せ系」
皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。 糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。
現在、実写長編作品の撮影準備に追われたりしながら、合間をみて海外に行ったりするそれなりに忙しい毎日を送っております。
自分の企画も徐々に進めているのですが、企画が大きくなっていけばいくほど壁も高く厚くなってくるので、やりがいはあるぶん 難題も多いです。
さてさてそんな中、今回も「アニメ制作における演出の仕事内容」をもう少し細かく話していこうと思っています。
ご興味をお持ちの方は、是非ご一読ください。 少しはアニメ制作の中身がわかるはず、と思います。
演出のお仕事シリーズ3回目のテーマは「演出打合せ」「作画打合せ」についてです。
基本的に言葉のとおりで、改めて難しい説明は特にないと言えばないのですが、この後の作業のことを考えると 非常に大事な工程ではあります。
まず「演出打合せ」というのは、出来上がってきた絵コンテに目を通して実際にどういう風に動かしていくかを含め 作品の方向性を打ち合せる会です。
参加者は、基本的に監督、演出、作画監督、助監督、制作の方々など。
1つ大変なことといえば、絵コンテが上がってきてからすぐ演出の打ち合わせが開始になるので考える時間が短いこと。
ボクの演出させていただいた時もそうだったのですが、絵コンテは上がってきて数時間後には打ち合わせが始まったりしたので 把握するのが大変だった気はします。
演出の方向性が決まったら、今度はすぐに「作画打合せ」が始まります。
最近は自宅で作業をされるフリーのアニメーターも多いので、スケジュールの都合などで直接会えない方とは電話で絵コンテを 見ながら話合うことも多いです。
作画打ち合わせも、1日とか2日で10人くらいのアニメーターや作画監督とまとめて話すので、凄く気力を使う作業かもしれません。
人によって性格や考え方も違うので色々な説明が必要で、非常に勉強になったのを覚えています。
そう考えると、慣れるまでは非常に臨機応変な対応を求められると思いました。
偉そうないい方にはなってしまうのですが、1話を演出するうえで一体何を伝えたいかという「テーマ」と、これは守ろうと言う 「ルール」をきちんと自分なりに持ったうえで打ち合わせることがその後の作業を大きく左右するような気はします。
そして、この打ち合せが終わると「レイアウト」チェックと言う作業が始まります。
「レイアウト」というのは画面内の構図やカメラの動きなどを原画担当の方々に決めて頂いたもののこと。
スケジュールのないテレビアニメにおいて、このチェックが一番大変で肝になってはくるのですが、こちらの作業に関しては また次回詳しくお話していくつもりです。
それでは、この辺でひとりごとを終わりにしたいと思います。 お目に触れた方にとって、何かが少しでも伝わっていれば、幸いです。
では皆様、またお会いしましょう。
いとそ けんじ
- 糸曽 賢志(いとそ けんじ)
- 1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。
20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。
大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。
現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。
2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に
取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。
文化庁新進芸術家国内研修員にも認定され、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008で北海道知事賞、第7回東京アニメアワード企業賞を受賞するなど、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
⇒加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
⇒クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
⇒糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)