連載第四十五回「じんじゃーまん・制作過程02」

皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。

最近は、TV局のプロデューサーさんと企画を練り込んだり、長編の脚本書いたりする毎日を送っております。 メインスタッフが全員興味を持つネタを見つけるってのが大変で、毎週のようにネタを出しては話合ったりしております。

さてさてそんな中、このコラムでは今回もFlashアニメ『ことなかれヒーローじんじゃーまん』についてのお話をさせて頂こうと思います。

局によっては、もう放映が全部終了しているところもあるみたいですが、オフィシャルページでは動画やパソコン用&携帯用壁紙、裏話ブログなども公開中ですのでご興味をお持ちの方はぜひご覧頂ければと思っております。

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この『じんじゃーまん』ですが、少人数&短期間で制作を行ったため、作業の効率化を最優先に考えております。

まず最初に行ったのが「香盤表」の作成。

脚本を全話読み込み「登場キャラ」「アイテム」「必要背景」「時間」などを表にまとめるのです。

これをもとに「絵コンテ」を執筆するのですが、Flashアニメはセルアニメと違いカメラがぐるぐる動いたり、キャラがガンガン動き回ったり出来ないので最低限のアングルでストーリーを説明し最大限効果的に見せられるよう考える必要があります。

なにより動かない分「飽きやすい」と思っているので、とにかく単調にならないようカットを割りを考慮したのを覚えています。

コンテが出来たら、それに合わせてキャラを作りこんでいきます。

前回のコラムではAdobe Illustratorというソフトでキャラクターをパス化して、拡大や縮小に耐えられるようにしたと記述しましたが、実はパーツごとに別々にレイヤーを作成しそれぞれが単体で動かせるようにしてあります。

簡単に言うと「目」「眉毛」「口」「メガネ」「からだ」「手」「足」「靴」みたいに分けてパーツを描いておいて、それぞれが決められた範囲内で自由に動くようにしておくということです。

「目」「口」などはセルアニメと同じで「閉じてある目」「開いている目」を用意し、交互に表示して瞬きしているように見せたりします。

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また掲載画像のように登場キャラ毎に必要なアングルを香盤表に合わせてパス化していたりもしているのですが、こうしてみると結構な数のパス化を行っていますね。

でも、最初に素材を作ってしまえば後が楽というのが、こういうアニメの良い所です。

3DCGと同じですね。

動かす際には、繰り返して使える「歩き」や「走り」といったリピート素材から順次用意していき、徐々に細かい動きを作成していきました。

さてさて色々書かせていただきましたが、今回お話しはこの辺でおしまい。

次回は『じんじゃーまん』アフレコ話をしていこうと思います。

では皆様、またお会いしましょう。

いとそ けんじ

『ことなかれヒーロー じんじゃーまん』公式ウェブサイト(http://www.amgakuin.co.jp/contents/gingerman/)


糸曽 賢志(いとそ けんじ)
糸曽 賢志
1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。 20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。 大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。 現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。 2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に 取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。 文化庁新進芸術家国内研修員にも認定され、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008で北海道知事賞、第7回東京アニメアワード企業賞を受賞するなど、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)
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