「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」

第十三回「タイミングとレイアウト」

皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。

コルボッコロ

さて、最近のボクは『探偵事務所5・薔薇は13で待て』がほぼ完成し、あとは公開を待つのみとなりました。

現在は、ビクター所属の歌手dorlisさんとワーナー所属のSOFFetさんのユニット曲用のPVを制作中です。

アニメで作ることになったのですが、TBSで放送中の『オビラジR』という番組とコラボすることになっているので、メイキングなんかもちょこちょこ番組で流れると思います。

ご興味があれば、是非見てみてくださいね。

さてさて宣伝はさておき、今回はタイミングとレイアウトについてお話をさせて頂こうかなって思っています。

皆さまは普段生活をする上で物事にかかる時間というものを気にしたことがあるでしょうか?  実写と違い、アニメーションは全て手で創り出すものなので、タイミングが非常に重要になってくるのです。

ストップウォッチを持ち歩いて、暇さえあれば色々な時間を計ることがタイミングを覚える一番良い方法かもしれません。

ちなみにボクは毎日ストップウォッチを忘れず持ち歩くために、その機能を兼ね備えた携帯電話を使うようにしています。

タイミングさえうまく抑えていれば、動きにぐっとリアリティがでてきますよ。

また、歩いたり、走ったりなどの動物的な動きはある程度個人差があるものなので少々タイミングがずれたり、動きがオーバーになってもバレませんが、車や電車など、機械的で日常よく見かける物の動きは皆さん知らず知らずのうちに脳裏に焼き付いていたりするんですよね。

だから、微妙に動きのタイミングがずれていると、どんなに綺麗な絵でも作り物に見えてしまいます。

かといってあまりに規則正しいとアニメーションらしさが失われてしまったりもするので、実際のタイミングを計測して、あとは自分で一番心地よく見えるタイミングを研究すると自分らしい動きが見えてきたりするみたいです。

あとは、自分が凄いと思うアニメーションをビデオなどに録画してコマ送りで見て研究すると言うのも効果的だったり。

そして、最高のタイミングを最高の構図で見せるために大事になってくるのが「レイアウト作業」です。

コルボッコロ

実写でいうカメラマンの作業ですが、どういう構図の中でどういう動きをするかという設計図をカットごとに詳しく作っていきます。

カメラサイズ枠の書いてある紙に絵コンテを見ながら絵を描き込んでいくのですが、いわゆる設計図なので見た人がわかるように、注意書きをしていきます。 赤ペンや青ペンなどを使って目立つように、背景の指定やうっかり忘れそうなこと等をどんどん書きます。

こうすることで、集団での意思疎通が計りやすくなるんですね。

自分だけわかっていてもスタッフに伝わらないと意味はないので、人の立場にたって物事を考えることが必要になるのがレイアウトの作業。

レイアウトが終われば作品の世界観はほとんど見えてくるので、一人でアニメを作る人にもオススメの工程の一つですね。

それでは、今回はこの辺でひとりごとを終わりにしたいと思います。 お目に触れた方にとって、何かが少しでも伝わっていれば、幸いです。

それでは皆様、またお会いしましょう。

いとそ けんじ

『探偵事務所5』オフィシャルサイト(http://www.tantei5.com/index2.html)


糸曽 賢志(いとそ けんじ)
糸曽 賢志
1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。 20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。 大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。 現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。 2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に 取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。 文化庁新進芸術家国内研修員にも認定されており、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)
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