「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」
第二十七回「探偵事務所5・薔薇は13で待て」
皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。 糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。
なんだかとても寒くなってまいりましたね。 ボクは現在、次の作品への準備と、『トランスフォーマー』の制作に追われる毎日です。
そんな中、今年の初めに撮影した『探偵事務所5・薔薇は13で待て』がネットにて公開となりました。
この『探偵事務所5』という作品は、『夢みるように眠りたい』『私立探偵濱マイク』などで有名な林海象監督が企画されたの探偵シリーズ。
名前をもたない三桁のコードネームを持つ探偵たちの物語をオムニバス形式で様々な監督が色々な手法で綴っています。
キャストは宍戸錠さん、佐野史朗さん、成宮寛貴さん、宮迫博之さんなど毎回色々。
そんな『探偵事務所5』シリーズの1話をボクが監督させて頂いたわけです。
ボクの担当したエピソードのストーリーを掻い摘んで書かせていただくと
「この世に生を持たない女探偵544。あの世とこの世の狭間でふらふらしている彼女は、黄泉の世界へ行く順番待ちの間、探偵業を営んでいた。そこへ現れた影を持たない大財閥の長である100歳の少年。物語は彼との心の交流と、探偵の生前の思い出が複雑に交差しながら描かれていく。はたして、探偵は不老不死の少年の謎を解き救うことができるのか??」
てな感じです。
周りに流されないカッコイイ女性を目標に描いた作品ですが、ファンタジックな雰囲気に仕上げたかったので、『踊る大捜査線』のスタッフさん達にも協力して頂き、衣装や美術にはこだわったつもりです。
あとは、せっかくボクがやるのだからという理由で、本編にはCGやらアニメやらを混ぜ込んでおります。
最後の最後まで作業が難航したのがアニメパートなのですが、実写に合うアニメというのはなかなか難しく、結局1人で3パターンも作ってしまいました。
- わりと普通のセルアニメっぽいバージョン
- リアルな絵を漫画のコマのように動かしたバージョン
- 影絵アニメを中心に構成したバージョン
結局3番を使うことになったのですが、色々試せたおかげでAfterEffectsの勉強になったので結果的には良かったと思っています。
徹夜の連続で、寿命縮めながら必死で作った作品ではあるので、よろしかったらご覧下さい、と言いたいところなのですが、これ有料なんですよね。
30分の内容で500円するし、何だか気軽に進められない気もしていたりします。
そんなわけですので、まずは無料でCMでもご覧になってから、それでも、良い! って方は見てみてくださいね!
ネットではちょっと……って方は、そのうち発売&レンタルされるので、DVDでご覧いただければ嬉しく思います。
あ、あと公開を記念して、主演の奥田恵梨華さんからのコメントや、ボクと共同監督「亀渕さん」がどういう経緯でこのシリーズに関わり、完成までこぎつけたのかなどが対談形式で公開中ですので、ご興味をお持ちの方は是非ご覧になってみて下さい。
と、いうところで、ひとりごとを終わりにしたいと思います。
お目に触れた方にとって、何かが少しでも伝わっていれば、幸いです。
それでは皆様、またお会いしましょう。
いとそ けんじ
- 糸曽 賢志(いとそ けんじ)
- 1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。
20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。
大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。
現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。
2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に
取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。
文化庁新進芸術家国内研修員にも認定されており、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
⇒加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
⇒クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
⇒糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)