■ライトノベル&イラストレーション

第一回 藤原祐×椋本夏夜 ―小説家とイラストレーターのコラボレーションにせまる―

10代を中心に大きなブームとなっているライトノベル。『涼宮ハルヒの憂鬱』、『灼眼のシャナ』などがアニメ化され大ヒットするなど、ますます大きな注目を浴びています。

ライトノベルの「面白さ」はどこからくるのでしょう?

多彩なキャラクターたち、胸躍る物語、見たこともない世界。そしてまた、それらを読者によりわかりやすく、より魅力的に伝える「イラスト」の存在も欠かすことはできません。

小説とイラストの密接な関係によって、多くの読者を獲得したライトノベル。では、小説家とイラストレーターはどのように「ライトノベル」を作り上げていくのでしょうか?

連続企画「ライトノベル&イラストレーション」は、ライトノベルの最前線で行われる、小説とイラストをめぐるさまざまな試みを直撃します。

レジンキャストミルク
(amazon)

レジンキャストミルク

(C)Yu Fujiwara,Kaya Kuramoto/MediaWorks
 イラスト/椋本夏夜

第一回目となる今回、ご登場いただくのは、人気シリーズ『レジンキャストミルク』(電撃文庫)の作家・藤原祐さん、イラストレーターの椋本夏夜さん。

現在、すでに四巻が刊行されたこの小説は、人々の願望が生み出した異世界〈虚軸(キャスト)〉と関わることで、〈欠落〉と異能の力を得た少年少女たちが主人公。現代の学園を舞台に、ほのぼのとした日常と凄惨な異能バトルが交差する、異色の学園ストーリーです。

ところでもう一点、この作品を語る上で重要なポイントがあります。

それは、イラストレーターである椋本夏夜さんが、原案協力というクレジットで、小説の企画段階から創作に参加しているという点です。

こうしたライトノベルならではの試みは、どのように生まれたのか?そして、具体的にはどのような創作が行われているのか?お二人にお話を伺うことができました。

■『レジンキャストミルク』はこうして始まった。

これまでもライトノベルの創作の現場では、たとえばキャラクターの設定に際し、イラストレーターが数パターンのラフを用意し、作家とのやりとりによってイラストを決定していく、ということは行われてきました。

しかし、『レジンキャストミルク』のように作品作りをスタートさせる段階からイラストレーターが参加し、小説家とイラストレーターが共に作品の著作権を持つ、という創作方法は、これまでにあまり類を見ないものです。

キャラクターイメージラフ
藤原:

何か新しいことを、というより、前作よりもいいものを作るにはどうしたらいいかを考えた結果、自然に出てきた形なんです。

僕は前作の『ルナティック・ムーン』でも、椋本さんにイラストを担当してもらっていました。僕自身、椋本さんの絵が非常に気に入っていたので、次回作でも、椋本さんに引き続き挿絵を担当してもらいたい、と希望したんです。そしたら担当編集者の方から、「二人のコンビで続けてやるなら、椋本さんもすごくアイディア豊富な方だし、もう少し踏み込んで、最初からかかわってもらったらどうだろう?」と提案されました。『ルナティック・ムーン』を通して一緒に仕事をするなかで、お互いに信頼関係を築けていましたから、それはぜひやってみたい、と思ったんです。

椋本:

ひとつのシリーズが終わって次のシリーズを始める時には、新しい読者を獲得するために、イラストレーターが変わる場合も多いんです。でも、私たちの場合は、引き続きコンビでいくことになりましたから、やり方を変えることで、何か新しい、もっといい作品ができるんじゃないか、と思ったんですね。だから、最初は原案協力というクレジットも決まっていませんでしたし、手探りでやり方を探していきました。

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