怪人二十面相、電影ヲ震撼ス・後編――『二十面相の娘』キャラクターデザイン・堀川耕一インタビュー

怪人二十面相、電影ヲ震撼ス・後編『二十面相の娘』キャラクターデザイン・堀川耕一インタビュー

■『二十面相の娘』のキャラクターデザイン 堀川耕一さん(ボンズ)

――堀川さんは本作が初キャラクターデザインとのことですが、これまではどのような作品に関わってこられたのでしょう?

1985年頃に葦プロダクションに入社して、『超獣機神ダンクーガ』で動画デビューしました。めちゃくちゃな感じでみんなが好き勝手やっていたので、面白かったですね(笑)。葦プロには1年ちょっといてから、フリーで作画スタジオを2つほどまわって、『機動戦士ガンダム0083』で現・ボンズ取締役の南(雅彦)と出会って、そこから『アイアンリーガー』『Gガンダム』『エスカフローネ』と来て、今に至ります。

――いま名前をあげられたタイトルと『二十面相の娘』では、かなり作品のテイストが違うと思うのですが、小原愼司先生の原作『二十面相の娘』を読まれた印象はいかがでしたか?

自分としては、そんなに違和感を感じることはないです。作品として完成度が高いというか、すごく練りこんであるな、という印象でした。絵柄も、ストーリーや雰囲気といった作品全体の方向性とズレがないものでしたし。

チコ11歳 ワンピース

――そうした絵柄をアニメのキャラクターとしてデザインするにあたって、特に意識したことはありますか?

キャラクターの表情を殺して、一瞬何を考えているかわからない方向でデザインしました。あと、最初に、フジテレビさんから言われたキーワードが「NEO萌え」だったんですね(笑)。

――そのキーワードがいきなり出てくるんですね。

正直なところ、最初は「NEO萌え」がなんだかわからないところがありました(笑)。ただ、原作から見出されたイメージだということは理解できたので、とにかく原作の雰囲気を殺さず、でも単純にトレースするのではない、というようなデザインを心がけるようにしました。「再構築して創り直す」とでもいうような形です。特にチコに関してはそういう作業を心がけました。

――実際に作業をされていく中でのポイントはどこでしょう?

二十面相・ケン

今回はボンズとテレコムのコラボという事なので、今まで関わってきた作品の流れで描きました。ボンズっぽく、無理に作らずに。現場はテレコムさんに全てお任せすることになっています。

――その意味では、筋肉がしっかりついている感じの二十面相のデザインからはボンズ作品らしさを感じます。

フジテレビさんの意見で二十面相はスマートにしたいという事だったので、それを取り入れながら手直ししていきました。やはり重要なキャラクターなので、二十面相に関しては、少なくとも3パターンくらいは描いています。

――なるほど。たしかに、ケンと比べても体格などから明確に年齢の違いが表現されていますね。

ケンは作品中で成長させなければならないので、その意味でも気を使ったキャラクターです。明るい少年ですが、なにか過去を背負っているはずなので、ハツラツとした少年らしさでは描けない。チコにもいえることなんですが、1~2歳違いでの精神的、肉体的な微妙な変化を描くのは難しかったですね。

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©小原愼司・メディアファクトリー/「二十面相の娘」製作委員会





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