やめてくださいクラウザーさん、その人もう……アニメ版『DMC』に夢中ですから!!

やめてくださいクラウザーさん、その人もう……アニメ版『DMC』に夢中ですから!!

「ヤングアニマル」(白泉社)誌上に生を受けた瞬間、日本中、世界中、いや、宇宙の全コミックファンの脳髄を犯して殺した、最狂デスメタル・ギャグ・マンガが、この夏、実写映画もアニメもレ○プ(×11回/秒)!!!!!!

もちろん、「ぷらちな」も、長濱博史監督たちの最高にファッ○なインタビューをぶちこんでやるわい!(でもチキンなのでやばい単語は伏字) 読者はグチョ濡れ必至! Go To D.M.C! Go To D.M.C!

■さすが『DMC』だ! 俺たちにできないアニメ化をやってのける!

―― まずは 『デトロイト・メタル・シティ』(以降『DMC』)の監督に就任されるまでの経緯から伺えますか?

地獄の長濱監督

実は監督のお話をいただいた段階では、アニメーションにすることで原作の面白さに何か付加価値をつけられる気がしなかったので、お断りするつもりでいたんです。ただ、そう思いながらどこかで「こうアニメ化すれば面白いんじゃないか?」という方法を頭の中で考えていたりもして(笑)。それで、お断りするときに「こういう方法だったら面白くなると思いますけど、それはNGでしょ?」みたいな話をさせていただいたら、予想外にオッケーがいただけたんです。なので、もうこれはやらせてもらうしかないな、と(笑)。

――具体的にはどのような手法を考えられていたのでしょう?

極力原作に近づけた絵でアニメ化する、画面に黒枠を入れて原作のコマ割りを活かす、プレスコで会話の間を編集する、などです。

プレスコ
通常のアニメーション制作では、映像に音声を合わせる「アフレコ(アフター・レコーディング)」方式がとられるのに対し、音声を先に収録してそれに映像を合わせる方式のこと。

―― それであの原作のイメージそのままでズレがない映像が出来上がったのですね。

そう言っていただけると嬉しいですね。今回はとにかく、少しでも「原作に近い」と観た方が感じてくださることを目指して作ってきましたから。

――音楽が大きな比重を占める作品であることも、アニメ化のハードルを上げていたと思うのですが、その点はいかがでしたか。

そこに関しては運が良かったです。最初から製作会社が音楽が原作の肝であることをすごく意識して企画を進められていた関係で、映画とアニメが連動して動いている企画だからこそ実現するような豪華なメンバーによる、クオリティーの高い楽曲が何も言わなくても揃っていましたから。

DMC

――EDにも使用されている、劇中で主人公が作った渋谷系ネオアコ楽曲の「甘い恋人」を、本物の渋谷系アーティストであるカジヒデキさんが作曲されていてびっくりしました。

やっぱり原作のパワーがすごいんですよね。クリエイターの心を捕まえる作品なんです。オリジナル楽曲を提供して下さった方も、すごくノリノリだったそうですから。それを聞いたときに、改めてすごい原作だと思いましたね。

だからこそ、アニメはアニメで独自の要素を乗せていきたいと思えて、カラオケで歌われる『くいこみ戦隊ブルマちゃん』の歌だったり、梨元さん(資本主義の豚)の歌う自作の「家路」だったりといったアニメにしか登場しない音楽を山本はるきちさんが全部しっかりと作って下さったんですね。その2曲と『悪い恋人』は完全にアニメ版でしか聞けない楽曲になっていて、本編では一部しか流れませんけど、DVD ボックスにはフルサイズの楽曲をつかったプロモーションビデオ風映像がおまけで収録されています。

――『ブルマちゃん』は劇中で流れる短い映像で十分強烈でしたが、フルバージョンがあるんですか(笑)。楽しみです。本当に細部まで気配りが行き届いた作品ですね。

それはもう、とにかく、繰り返し何度も見てもらいたい一心で作りました。無闇に細かいところにこだわっているわけではなくて。何度見ても面白いものを目指すうちに自然とこうなっていた……と。見返すたびに、いつまでも話題がつきない作品になっていると良いなと思っています。

■でた~! クラウザーさん(の声)の2人1役だ~!!

――主役であるクラウザーさんは岸尾だいすけさんとうえだゆうじさんの2人1役ですが、このような形をとったのはどのような意図があったのでしょう?

DMC

原作サイドと打ち合わせをさせていただいたときに、「クラウザーは二重人格に見えて欲しくない」というお願いが先方からあったんですね。あくまで根岸とクラウザーはひとつの人格で、別々の人格なわけではない。それが画面上から伝わるようにして欲しい、と。だから、声色でキャラクターを変化させることで「別人格が出てきた」と見えてしまうことは避けて欲しいという。

――たしかに根岸はふたつの顔を演じ分けているわけではなくて、彼の中で自然につながってしまっているからこそ悩むわけですものね。

そういった理由で、原作側としては2人1役を避けてほしいということだったんですが、どうしてもとお願いしてやらせてもらいました。自分も音響監督のたなかかずやさんも全幅の信頼を置いているうえださんにクラウザーをやってもらえればいろいろなことに対処しやすいと考えたからです。正直なところを話せば、『DMC』は実写も連動した大きな作品ですから、企画が動き出した初期の頃には、メインキャストにタイアップ関係でアニメに慣れてらっしゃらない方が入る恐れがあったんですね。それは大きな企画としては当然のことですし、僕はそういったキャスティングが行われること自体に抵抗はありません。しかし、その結果として作品が面白くなくなってしまうのは困る。うえださんは鋭い感覚を持ってらして、芝居もできればギャグのテンポ感もあって、歌も歌える。

なので、ちょっと悪い言い方になるかもしれませんけど、クラウザーさんをうえださんに押さえておいてもらったら、後のキャストにどんなひとが入っても何とかなるだろうと考えたんです。作品の根幹が揺るがないように押さえておく「重石」のようなポジションをお願いしたかったということですね。ただ、実際には岸尾だいすけさん、長澤まさみさん、小林愛さんをはじめ、どんどん作品をささえる軸が増えていって、ものすごく巨大な柱を作ってくれた。何の心配もいらなくなっちゃったんですよ。なので、うえださんにもどんどん攻めてもらいました(笑)。

地獄のDVD-BOXを前に悪魔的制作を語る長濱監督

――なるほど。

岸尾さんもがんがん行くし、社長の小林愛さんもはじけてたから、そうしたらもう、役者陣はどんどん上に演技をのっけていくしかない方向に現場がなっていったんですよ(笑)。そこにすごい楽曲が東宝からあがってきて、もう作り手の意識がステージアップせざるを得なくなってきたんですね。だから、最終的にはビジネスっぽい計算をしていたような部分がなくなっちゃったんです(笑)。観てもらえれば、話題性で入れたようなキャストがひとりもいないことがわかってもらえると思いますよ。こざかしいことを考えるのがばかばかしく思えるくらい、作品の器が大きかったってことだと思いますね、本当に。

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