やめてくださいクラウザーさん、その人もう……アニメ版『DMC』に夢中ですから!!

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■カメラ!カメラ!カメラ!――『DMC』の映像を支えたCGIのお仕事

ライブハウスの臨場感や原作の勢いを映像に落とし込んだアニメ『DMC』。CGI(撮影)監督の高瀬裕介さんにもお話を伺いました。

――CGIという役職について、まずは簡単にご説明いただいてもよろしいですか?

狂気のライブ空間を産み出す悪魔的CGI監督

そうですね……大きい意味での「最終的な画」を作る仕事です。エフェクトから、カットごとでの質感を変える作業まで、仕上げ全般をやるという。

――『DMC』という作品の作業の基本方針はどのような?

基本的には、監督からかなり自由にやらせていただきました。実際の作業の進め方も、こちらでまず画面を作ってみて、そこから調整していく形でしたね。最終的にはコンテの指示も簡略化されていって、多分、僕と長濱監督の間でしかわからないようなやりとりをするところまで行ったと思います(笑)。

――なるほど。そうした自由さの中で高瀬さんが今回狙おうと考えたポイントは?

「緩急」ですね。普通のシーンはなるべく軽く、魅せるシーンは極端にやる。そういう画作りをしたいと思いました。中には前のシーンからがらりと雰囲気があるカットもあって、そこは面白がっていただけると思いますよ。

――それは日常とライブの対比をつける、というような感覚でしょうか。

そこだけには限りませんが、もちろんライブでの落差は意識しました。ライブでは強く光を当てていますね。個人的に、これまでのアニメで、あまり良いライブシーンを観たことがなかったので、ちょっと挑戦してみたいと思いまして。

地獄の色指定が無造作に犯し捨てられている!

――たしかに、作中に登場するライブシーンのライティングはひとつひとつ変化がついていたように思います。実際のライブハウスでも、ハコの大きさや当日の機材次第でライティングは変わってきますものね。

そうですね。そこはかなり考えました。それ以外だと、あとはやっぱり、「色」ですね。基本的にはDMCカラーを大事にしつつ、スペシャルなライブとか、10話のちょっと実写に近いシーンであるとかで調整しました。あとは話数単位でやや色を変えるようにして、続けて観ても飽きないように気を付けました。

――10話の「マッドモンスター」を演奏するシーンの臨場感はすばらしいですよね。

そうですね。あのシーンは見せ場になっていると思います。具体的にあのシーンで意識したのは空気感ですね。空気は目に見えないと思う方が多いと思うのですが、奥行きが出るような処理やライトの光を当てる処理をするときには、空気を意識しないとダメなんですよ。マッドモンスターのシーンでは、光が実写的な乱反射をする処理を細かく入れたことによって、あの臨場感が生みだせたと思いますね。

CGIによる悪魔的撮影処理でライブの空気が生み出される!! まさに地獄のビフォーアフター!!

――なるほど。たしかに、ステージがスモークやホコリに煙っている感覚が非常に細かく表現されていたように思いました。

アニメ的でありながらリアルである、という表現にしたいんです。その意味では、画面がCG臭くなりすぎないようにする、という点も注意していましたね。

――この作品では、原作のコマ割りを意識した映像のフレームが設定されていますが、あの表現も高瀬さんの手によるものなのでしょうか。

そうですね。最初の段階で、監督からフレームをいじったら面白いのでは? という意向が示されまして。あの表現はいろいろと試行錯誤を繰り返して、かなり細かくリテイクをかけて調整しています。

――ギャグのオチに絡むことも多いので、かなりシビアなタイミング調整を求められたのでは。

修正をする作業自体は簡単なんですが、タイミング調整には結構時間がかかりましたね。

悪魔的デスクトップから繰り出される地獄の撮影技の数々!

――ちなみに作業環境は?

ソフトは基本的にPhotoshop です。そこで絵作りの方向性を決めてから、作業をAfter Effects に移行して、さらに、必要であればその後3Dソフトを使用します。煙とかライトといった処理はどんどん3Dで作ってしまいました。

――普通に見ているとあまり目立たないようなところにもデジタルエフェクトが駆使されていますよね。根岸くんの実家のお母さんの「DMC」Tシャツとか。

あれはパースをあわせて、テクスチャを張り込んで、キャラの動きに合わせて絵を動かしましたね。こういう細かい処理はやりすぎていて、今では自分でもどこまでやったのかよくわからなくなっているくらいです(笑)。監督もこだわられていた点なので、何気なくやっているシーンにも色々とあります。1話のPV撮影の地獄で子供たちが出てくるシーンがありますよね。あのシーンは、最初の方のシーンはもともとフルアニメーションで作画されていたんですけど、途中からは撮影処理でフルアニメっぽく見せています。独特の気持ち悪い感じが出せているんじゃないでしょうか(笑)。

――では最後に、この作品に限らず、音楽の雰囲気を映像に乗せる上でのポイントをお聞きしたいと思います。

とりあえず、映像に付く音を聞きまくることではないでしょうか。今回はそれをかなりしっかりとやりました。カット単位で音を聞いて、聞きながら画を見ていって、しっくりと合うところまで直していく形をとりました。映像は流れが重要ですから。あえていうならそこがポイントだった気がしますね。

(2008年7月3日、STUDIO4℃にて収録)

インタビュー/構成:前田久

⇒そしてついに黒光りしたヤツが光臨する!! Go to DMC!

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