Production I.Gにリアルドライブ!『RD 潜脳調査室』中武哲也アニメーションプロディーサーインタビュー

Production I.Gにリアルドライブ!『RD 潜脳調査室』中武哲也アニメーションプロディーサーインタビュー

――『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』から『イノセンス』、『神霊狩/GHOST HOUND』に『RD』と、士郎作品はプロダクション I.Gの歴史の中に常に存在するものだと思います。数々の作品を手がける中で、士郎さん原案原作ラインは、I.Gにとってどういう存在ですか。

士郎正宗
漫画家。『RD 潜脳調査室』の原作者。代表作『攻殻機動隊』のサイバーパンク的世界観と設定の数々は、世界中のクリエイターに影響を与え、支持されている。
石川光久
プロダクション I.G代表取締役。1987年にタツノコプロから独立、アイジータツノコ(現プロダクション I.G)を設立。

社長の石川と、士郎さんの間に強い信頼関係があると思います。I.Gが大きくなれたのは、士郎さんの作品の力があったからではないかと感じています、かつ今後も失うことのできないキーパーソンと私は思っています。石川と士郎さんとのミーティングに同席させていただいた際に、石川が士郎さんにはらう礼の深さを見て、言葉では言い表せない感動を覚えました。

――石川社長と言えば、押井守監督とのタッグが知られていますが、士郎さんとの信頼関係もすごく深いんですね。

プロデューサーとクリエイターの関係としては、こうありたいと思う2人だと感じました。現場レベルでも、そういう信頼関係の上に立つ、士郎作品への思い入れみたいなものは伝えていきたいと思っています。

――やはりプロデューサーのお仕事というのは、スタッフといかに信頼関係を構築するかに重きを置かれるものなんでしょうか。

中武哲也さん

信頼関係が無ければ、いろいろな障害が起きる可能性が高まります、信頼関係があってもトラブルは付き物ですが……。願わくば双方が理解しあって、一緒に作れるような現場にしたいなと思っています。お互いにとってプラスになるような関係にしたいですね。「俺に付いてくると貧乏になるけど、よろしく」みたいな感じだと、ちょっと(笑)。

――中武さんが具体的にお仕事の中で、一番重要だと思っているポイント、大切にされていることは何かありますか。

最近は外に出ている時間が長くなってしまったんですけど、出来る限りクリエイターの上がりを、原画をみて「ああ、いいな」と思ったら本人に伝えたいと思いますね。「今日は何枚上がった」という数字だけではなくて、仕上がりで、どういうフィルムになるかが重要なので、いいものを見た喜びはちゃんと伝えないと。上がりはこれからも常に見ていきたいです。私の嘘はすぐバレてしまうんです。

――クリエイターはそういう部分ですごく繊細で、作品にもそれが現れますよね。

敏感な方が多いですよね。基本的に社交的な人、自分からコミュニケーションをたくさん取りにくる人たちばかりではないと思うので、感想や思った事を伝えられれば、皆さんにとってもプラスになるんじゃないかと。自分の関わる作品のフィルムが良くなることというのは本当に大切なので、何よりもいいものが上がったら嬉しい、というシンプルな感じですね。

RD 潜脳調査室

――中武さんの人付き合いの作法、クリエイターとの向き合いかたというのはI.Gに入社してから意識して身に付けられたものですか?

入社して最初に所属になったのが、『人狼 JIN-ROH』の寺川プロデューサーのスタジオで、そこでクリエイターさんとの関係の大切さを、どうすればフィルムが良くなるのかという根本的な部分を教わりました。後にスタジオのスタッフ、撮影さんや仕上げさんに怒られながら、精神的に成長させていただきました。

I.Gは、名監督だけではない、メインスタッフで昔から関わってくださる人達の精神が、制作進行にも受け継がれている気がしますね。「海外に撒くなら、社内動画いれろ!これはI.G作品だ! 西村潤子」という張り紙がカット袋についていて、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の動検さんなんですけど、痺れますよね。

「楽だからって海外に撒いてもクオリティが上がらなければ、どうせ私のところで3日止まるんだから、それなら社内でやれ」って。1年目、2年目の子は衝撃を受けますよ。現場から学ぶことは本当に多いと思います。

RD 潜脳調査室

――なんとなく、どの作品からも伝わってくるI.Gのカラーというのは、そういったところから出てくるんですね。

押井監督の作品の印象が強いと思いますが、その作品を支えている顔ぶれは、比較的おなじみですよね。そういう人たちがいてくださることで、他の作品たちも安定しているんじゃないかと思います。

――最後に、プロダクション I.Gに憧れる人へのメッセージをお願いします。

現状のI.G作品の方向性だけではなく、間口が広く面白い!ということが重要だと考えています。I.Gはこういうものを作っているから、自分も同じことをやりたいというより、さらに自分がI.Gに新しい血を入れるんだというくらいの勢いがあるほうが、面白いです。

――ありがとうございました。

(2008年10月6日 アミューズメントメディア総合学院東京校にて収録)

インタビュー:前田久
構成:平岩真輔

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