Production I.Gにリアルドライブ!『RD 潜脳調査室』中武哲也アニメーションプロディーサーインタビュー

Production I.Gにリアルドライブ!『RD 潜脳調査室』中武哲也アニメーションプロディーサーインタビュー

――キャラクター以外の絵では、メタリアル・ネットワークというSF的世界観の映像化は非常に大変だったのではないかと感じます。

竹内敦志
プロダクション I.Gに所属するメカニック・デザイナー。『イノセンス』『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』など押井守監督作品でメカデザインを手がける。NHKの「アニクリ15」で監督としてショートアニメ『ワンダバキッス』を発表。08年10月に米国で放送スタートしたCGアニメ『スターウォーズ/クローンウォーズ』にもデザイナー・監督(第12話)として参加している。

まず最初に、具体的にどういう世界にすべきかというところ叩き台がなくて、竹内敦志さんというクリエイターにどういう世界観を作るべきかを考案いただいたきました。それで3Dチーフの遠藤誠さんと竹内さんで共同で開発していったのが、メタルのCG、3D空間になります。

――本作の過去の時代である『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の“ジャックイン”するという世界観ともまた違ったネットワーク描写だと感じましたが、そこは、意図して変えられたのでしょうか。

RD 潜脳調査室

新しいインターフェースはないかということは考えていましたね。時代設定的には、士郎さんの『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の世界よりも少し先なので、ジャックインではなく、無線という言葉でいいんですかね、繋げずに潜るようなシステムはどうでしょうかと。

――終盤では大きな流れとしてネットワークと海が繋がっていく、という話になりましたが、あの構想は士郎さんのものですか?

監督のアイデアですね。よく「水には不思議な力がある」みたいなことが言われますが、ひょっとして深海の奥底に眠る水が人類のすべての歴史を記憶していたら? というところから、水がキーワードになりました。全体としては、士郎さんの企画書の方向性をベースに、監督や藤咲さんのテイストが新たな要素として加わっていった感じです。

RD 潜脳調査室

――書記長とソウタの間に恋愛的な関係を持ち込んだりと、濃厚な部分も描かれていた部分は、どなたの要素が?

そこは監督と藤咲さんですね。書記長と関係を持って、最終的にはああなるとは自分も想像してなくて、前半の話数で本を読みながらびっくりしました。「普通の関係じゃねぇな」って(笑)。「ソウタ、バカだなぁ」と思うシーンも多々ありましたけど、あれは狙いです。「若いなあ」って。

――藤咲さんは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の印象では、ハードなSFな方だと思ったんですが、そういうドラマのテイストもお持ちなんですね。

RD 潜脳調査室

非常に幅が広い方ですね。求められればその人生の箪笥からネタの引き出しを開けるという、ジャンルを選ばないオールラウンダーな脚本家さんだと思います。

――2クールの中で、ミナモのような10代の多感な世代の成長が描かれてることは一般的ですが、老人のハルさんも、物語を通じて考え方を変えていくところが面白いですよね。

最初は動かなかった身体が、後半に行くにしたがって、だんだん自由を取り戻していくんですよね。体と心は近しいなと非常に感じます。ミナモのポジティブなメッセージを受けたものの、実際は動かないこの足が、みたいな葛藤から始まって、ちょっとずつハルさんも変わっていくんですね。

――最後は、ランニングまでしてましたからね。

走ってましたね。人間、何歳になっても学べることはあるんじゃないかなと。そういう、生活の身の周りのあれが大切なんだ、これが大切なんだというメッセージが込められている作品なので、最後まで観ていただけたら、何かしら感じていただけると思っています。

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――中武さんが、あえて推すならこの1話というエピソード、ここを見て欲しいというポイントをあげるとすれば。

初見の方には6話「ラブ・レター」ですかね。これは素直で優しいお話で、見れば大切な人の顔がちょっと浮かんだりするんじゃないかなって。

――基本は1話完結でバリエーションを楽しめますね。その中にムチムチあり、アクションがあり、恋愛もあり、SFもありという(笑)。全体を通して見ると、ラストにグッと締まっていくのがまた楽しい。

各話サブタイトル一つとっても、構成の藤咲さんが試行錯誤されていて、オンエアで観たときは気付かなかったけど、通しで観たら、こういうネタがあったのかということも隠れていたりします。一回目よりも、二回目、三回目の方がより深く内容を理解していただけると思うので、是非、DVDで二度三度(笑)。

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