■映像美をささえる現場
――人形サイズとはいえこれだけ大規模かつ細密だと、実際に作る美術制作会社やスタッフさんとのコミュニケーションも大変ですよね。
まず『新・三銃士』で目指すべきクオリティーのベースを作っていくために美術チーム一体となって試行錯誤を繰り返しました。特に若い人ががんばってくれて、こちらの意図を踏まえさらにアレンジを加えてくれて、想像以上の仕上がりになっていたり、恵まれましたね。
――キャラクターのことまで計算に入れてデザインしているのでしょうか。
おたがいに言いあいすぎると進まなくなってしまうので、あえてある程度線引きしました。ただ、やり取りは逐一しながら色などを微調整しました。
たとえば、アンヌの部屋はまっ白にするつもりだったんですが、衣装に紫が入っているということで、それにあわせたレースをあしらいました。
――人形劇には、人の芝居ともアニメーションやCGとも違う不自由さがあるかと思います。
操演に支障がなくてかつ俯瞰でも撮れるように、あらかじめ床が切れたりパーツがはずれたりするように設計するんです。
現場で要望があったら、その場でできることはなんでもやります。「船上のだましあい」の回では、ミレディがマストにのぼるためにと言われて、甲板の半分を切りました。
セットと操演だけでどうにもならない時は、演出プラン自体やカメラの角度を変えてもらったりして、みんなで工夫しています。
ほかにもカメラが中に入れるようにパーツを分けたり、発注前に演出やカット割についてよく話しあいます。
――これから映像美術の世界を目ざす人のためにアドバイスをお願いします。
自戒もこめて、なんにでも興味を持って見るようにすることが大切だと思います。好きだと思って作っていると、見るかたにも伝わるし、自分も楽しいですものね。いろんなところにこだわりポイントを見つけられるとよいですね。
――どうもありがとうございました!