アニメのゆくえ2011→

『009』と『ブラック★ロックシューター』を証明に

――『009』についてもお伺いしたいのですが、2012年秋の公開に向けて制作状況はいかがですか。

いまはCパートまで打ち合わせが終わって作業に入っています。あと1パートなので7割は作業に入っていますね。もう少しでコンテが全てfixするので、そうなれば全て作業に入れます。ABCパートは同時に進めているんですが、Aパートはほぼアニマティクスを終えて、Bパートもその作業中です。Cパートはレイアウトの段階ですね。

――プロモーションでは、スタッフサービスのCMアニメ『サイボーグ正社員003』も公開されています。

アニメのゆくえ2011→

『正社員003』はProduction I.GでCGを担当していたスタッフが立ち上げたサブリメイションというスタジオがアニメーションを付けていますが、モデルは全てサンジゲンのものを使っていて、すごく良かったので、本編も一緒にやってもらっています(笑)。

――モデリングなどは、すでに完成版になっているんですか?

ディティールが細かくなって、完成版に近いものになっていると思います。メインキャラのモデルは上がっていて、最後の細かい部分を作業していますが、絵コンテが決定稿にならないとできない部分もあるので。でも、あの003はほぼ確定ですね。CMに登場するサラリーマン達も、そのままではないですがエキストラとして本編にでてくるはずです。見た目は違っているかもしれませんが、少し色を変えれば別キャラにできるので。そこはCGの便利なところですよね。

――サンジゲンのセルライクなキャラクターのひとつの達成を感じました。技術的に変わった部分はあるんですか?

基本的には何も変わっていません。ただ、モデルを触っている時間が長いので、003への愛は凄く高まっていて、どんどん綺麗になっていきますね(笑)。他のキャラクターもですが、最初にPVを作ったのが良かったですね。何が足らないのか見えたので、その部分をより詰めていっているので、実際に劇場でご覧いただける際には、もっと良くなっているはずですよ。

――劇場公開までに『正社員003』のような他の形での展開も予定されているんですか?

そこは、Production I.Gの石井(朋彦)プロデューサーが結構仕込んでいるので、今後も何かあると思います。どこが作るんだ!という感じですが(笑)、やれることは全部やりたいですね。そういった動きも含めて、『009』を作ることだと思うので、できる限りは。

――神山監督とのコミュニケーションはいかがですか。

そもそも、監督がサンジゲンを気に入ってくれたことが『009』を始めるきっかけでもあるので、すごくスムーズですね。作品の作り方も、情熱の部分でもサンジゲンと合っていると感じていますが、神山監督としても初めての事が多いので、探りながらやっています。Production I.Gとサンジゲンでそれぞれ制作が立っているんですが、制作のスピード感として、サンジゲンでは大丈夫だと思っていても、I.G側では不安に感じるような温度差はあるかもしれません。作画だとどんどん進める様な部分で、CGだとそうはいかないものがあったり、水面下では動いていてスタートできればイッキに進むようなものは、やはり不安に思われるんだろうなと。『B★RS』では社内で全部やっているので、そういうことはないんですが、Production I.Gと組むのは初めてなので、いろいろ説明しながら共有していってます。

――Ordetともトリガーとも違う、Production I.Gならではの進め方もありますよね。

東京でも地方でも、どのスタジオとやっても同じということは無いですね。もちろん監督によっても違います。サンジゲンは、色々な下請けをやってきて、逆に制作側の温度を感じることには長けているので、ここが引っかかるのかとか、ここは大丈夫なんだ、とか組む相手によって細かい違いはありますね。『009』は、これから細かい芝居の詰めがあるので、完成に近づくにつれて大変になっていくかと思いますが、1話ずつ完成するテレビと違って、劇場は最後の最後まで出来上がらないので、早く映画を観たいですね。

アニメのゆくえ2011→

――最後に、いよいよスタートするテレビアニメ版『ブラック★ロックシューター』の見所を教えていただけますか。

もう、観たら分かると思います。明らかに動いています。テレビシリーズでこんなCGの使い方は他には無いし、ウルトラスーパーピクチャーズで、Ordet、トリガー、サンジゲンという体制だからこそ、リソースや予算を上手く使って作品が作れていると。『B★RS』 を、サンジゲンのやり方で作品が作れることの証明にしたいので、そのための全てをやっています。もちろんアニメらしく動いて欲しいと思っているし、CGならではの表現もどんどん入れているので、「テレビアニメなのにこんなにも動いていて、しかも今石アクションをCGで表現できている」ということが最大の見所ですね。

そして、ユーザーには最終的に「作画でもCGでもどっちでもいいんだ」と感じて欲しいと思っているので、作画とかCGとか考えずに『ブラック★ロックシューター』の物語や作品そのものに、愛をもってもらえれば嬉しいですね。

(2012年1月19日 サンジゲンにて収録)

インタビュー/構成:前田久(@maeQ)草見沢繁(@shigeru_suso
構成:平岩真輔(@hiraiwa

『ブラック★ロックシューター』2012年2月2日より放送開始!

イラストレーターhukeによる一枚のイラストから始まった物語、『ブラック★ロックシューター』がフジテレビ「ノイタミナ」で待望のテレビアニメーション化! OVA版も手がけた吉岡忍監督と、『天元突破グレンラガン』の今石洋之CG特技監督のもと、Ordet、トリガー、サンジゲンという新進気鋭のスタジオが総力戦で挑む意欲作が切り開く「アニメのゆくえ」は見逃せない!!

◆STAFF 原作:BRSプロジェクト/キャラクター原案:huke/監督:吉岡忍/CG特技監督:今石洋之/シリーズ構成・脚本:岡田麿里/総作画監督・キャラクターデザイン:芳垣祐介/アニメーション制作:Ordet/サンジゲン
◆CAST 黒衣マト:花澤香菜/小鳥遊ヨミ:沢城みゆき/神足ユウ:阿澄佳奈/納野サヤ:能登麻美子/出灰カガリ:喜多村英梨/小幡アラタ:沼倉愛美

2012年2月2日(木)深夜24:45~ フジテレビ「ノイタミナ」他で放送開始!

連続特集:アニメのゆくえ2011⇒

第1回 アニメ評論家 藤津亮太氏インタビュー「2011年もチャンネルはいつもアニメですか?」
第2回 サンジゲン松浦裕暁代表インタビュー「二次元からサンジゲンへ―3DCGで描くアニメのNEXT」
第3回 ニトロプラス代表でじたろう氏インタビュー「混沌のアニメ業界に輝くクリエイター集団の輪郭(エッジ)~これまでとこれから ニトロプラスの10年」
第4回 ウルトラスーパーピクチャーズ 松浦裕暁代表インタビュー「BLACK★ROCK SHOOTER 今から始まるウルトラースーパーピクチャーズの物語」

前へ
4/4
トップページへ



  最近の記事

ぷらちなトップページに戻る ぷらちなへお問い合わせ