レイ・ブラッドベリ・インタビュー

レイ・ブラッドベリ。1920年生まれ。『火星年代記』『華氏451度』などで知られる世界的に有名な作家である。

SFから幻想文学まで幅広い作品を手がけており、多くの作品が映像化されている。先日、日本でも上映され話題となった映画『サウンド・オブ・サンダー』もまた、彼の短篇「雷のような音」を原作とした映画だ。

叙情的でどこか懐かしいその作風は、日本のクリエーターたちにも大きな影響を与えている。

そんな生ける伝説が、クリエイターの卵たちに向けて、自身の初期作品の誕生秘話、そして自身の創作作法について語ってくれた。

傑作『霧笛』の誕生

『霧笛』を書いた1950年代、私はカリフォルニアのベニスに住んでいてね、ワイフといっしょにビーチをよく散歩していたものだった。ちょうど古い桟橋が取り壊された頃でね、ビーチには残骸が散らばっていた。

私はワイフにこういった。ごらんよ、あの恐竜たちはこんなところに寝転がって、いったい何をしているんだろうね? 

その夜、誰かの呼び声をきいたような気がしてふと目を覚ました。ワイフは隣ですやすやと寝息をたてていた。窓の外は霧で何も見えなかった。どこかで霧笛が鳴った。ああ霧笛だったのか、と気づいた。

「霧笛」(”The Fog Horn”、1951年、ハヤカワ文庫SF『太陽の黄金の林檎 』所収)を思いついたのは、その時だった。

霧笛を仲間の呼び声とまちがえて、百万年の眠りから目覚めた恐竜が、仲間を求めて霧の海を渡ってくる。しかし霧笛だったとわかって恐竜は怒りだし、灯台を壊して、哀しみに打たれ霧の海へ帰っていく……。

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