【ぷらちな】キャラを着て、街に出る。COSPAデザイナー和田洋介さんインタビュー<前編>

キャラを着て、街に出る。COSPAデザイナー和田洋介さんインタビュー<前編>

■キャラクターTシャツ、街へ

――1998年頃にはインディーズのデザイナーが、キャラクターを面白く扱うようなことをする空気があったと思います。また、それをテレビドラマの登場人物が着ていたり、キャラクターTシャツが世間にも知られるようになりました。

シャア専用Tシャツや百式Tシャツですね。廻り廻って、電車男がコスパ版の百式Tシャツを着るというのもなにかのめぐり合わせでしょうか(笑)。もちろん、インディーズのTシャツ文化からは多大な影響をうけていて、キャラクターアパレルのグラフィックデザインの方向性は、クラブカルチャーや音楽といったものと切り離せないものなので、その空気は大事にしたいですね。

――音楽といえば、ナードコアとよばれるアニメをネタにしたテクノミュージックが盛り上がり始めたのも、『劇場版エヴァンゲリオン』の頃でした。エヴァがアニメファン以外にも流行したことで影響はありましたか。

ナードコア
90年代後半に誕生した、ハードコアテクノのスタイルで、アニメやゲーム、アイドルなどの音源をサンプリングした楽曲のこと。

ナードコアのDJ達とも交流があって、個人的にCDのジャケットをデザインしたりもしました。キャラクターグラフィックをデザインする上で、確固たるスタイルを確立したのが『エヴァンゲリオン』ですね。“アニメキャラだけど、見せ方によってカッコいい”ということが一般の人にも分かるレベルまで完成度を高めてくれた。ある種のスタイリッシュさをともなったアイコンとしてアニメが認められた瞬間だったと思います。

――コスパのキャラクターアパレルが、一般に知られたのは、モノアイTシャツがきっかけだと思います。最近では、ガンダムがポップアイコンとしてストリートファッションの世界でも通用していますね。

モノアイTシャツは、ガンダムTシャツ第一弾の頃からあったアイデアですが、最近のガンダムのポップアイコン化はすごいですね。ネタとしての部分が大きいかもしれませんが、ネタという逃げ方は、受け入れるための解釈としては大アリで、芸人も着てるし、冗談だし、というところから手を出していって、いつの間に奥深いところに来てしまうというのもありかなと思ってます。

モノアイTシャツ

――かつての、ど真ん中にアニメキャラがプリントされた、いかにもアニメグッズというTシャツから、ネタとしてもファッションとしても着られるものへと変化させるために必要だったものは何でしょう?

自分の中に、アニメ以外のグラフィックとファッションのスタイルを沢山もつことにつきると思います。いろいろなスタイルの中にキャラクターを投入すると、どんなアウトプットができるのか。ひとつ別の文化というフィルターを通すことで、いろんなものが見えてきます。

――具体的には、どのような発想のしかたになりますか?

たとえば、ガンダムはすごく広い世界をもっているので、その上にどういうスタイルを被せるかという選択肢が無限にあると思うんです。Tシャツなら、北欧メタル音楽、和物の藍染、有名ブランドがガンダムをやったら……そういう、いろんなスタイルを通してガンダムを見るという遊びの結果、ガンダムを通して自分がやりたいデザインが見えてきます。

自分がキャラクターに関わるスタンス、フィルターを沢山もつことでいろんなバリエーションがでて、面白いものができてくる。それは既存のグラフィックデザインの文脈であったり、「もしアレが実在したら…」と作品世界での創造力を働かせるものであったり色々あるわけです。

――たしかに、COSPAのキャラクターTシャツには、同じ作品でも、いろいろな解釈のデザインがありますね。

デザインするという作業は、常に壊していくことの連続だと思うので、マンネリ化してデザインが死んでしまうことがないように、常に自分自身の意表をつくようなものは何かと考えて、作品と遊ぶ気持ちでやっています。

そこで気をつけなければならないのは、作品と自分だけの遊びになってしまい、ファンが好むコアな部分を落としてしまわないことですね。本当に作品を好きな人たちに「ノー」といわれないものでなければ、幸せな商品にはなれません。コアな人たちに納得してもらえる解釈と、ライトなファンや、一般の人にも「なんだこりゃ」とおもわれない範囲のデザインとが交差するところが、自分の作っていくものかなと考えています。

コスパTシャツ

――たしかに、COSPAブランドのアイテムからは、そういうバランスの良さを感じます。そのバランスを見極めるには、何が大切でしょう?

まずは自分がよきユーザーであることですね。デザイナーには、やはり自分の好きな物を作ってほしいと思うので、作品を好きになることができれば、最初のハードルはクリアしています。

ただ、仕事としては色々な作品と関わる必要があるので、商品開発のプロとしては、まず好きになるスキルを磨くことがスタートです。作品の魅力を理解して好きになる。そして、作品の世界の中で自分の発想を遊ばせた結果として、この作品はここが面白いよね、こんな楽しみ方があるよねと、商品として提示することができるのが幸せな形かな、と。

贅沢なことをいえば、COSPAの商品から興味をもって、作品そのものに触れるきっかけとなってくれたりすると最高ですね。

インタビュー/構成:平岩真輔

さらにインタビュー後編へ、行きまーす!!

COSPA渋谷店がオープン!!

様々なキャラクターアパレルやグッズを取り揃えたCOSPA渋谷店が、初のCOSPAブランドショップとして、4月10日 渋谷東急ハンズ前にオープンしました!ショップ限定Tシャツも続々登場する予定です。COSPA渋谷店で、キャラクターアパレルの最前線を体感してみよう!!
⇒COSPAウェブサイト http://www.cospa.com/

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