【ぷらちな】萌え4コマ、いいカンジ? まんがタイムきらら編集部インタビュー

まんがタイムきらら編集部インタビュー

■これが『きらら』のあるくみち

――実際には、同人系やアキバ系という言葉で一括りにできない、いろんな流れの作家がいるんじゃないかと思います。“同人誌”の他にも“ゲーム4コマ”や“学年誌”、“少女マンガ”……という非常にいろいろな形、ジャンルで描いていたけれど、「可愛い絵柄の4コマ」という1点のみで一致している。そういった作家をセレクトする上での、コンセプトはどこにあるのでしょう?

小林 その多様性は、編集者の個性からくるものだと思います。きららグループの目標は、最初に述べたように「コミックスを売ること」、つまりは作品のタイトルを大きくすることです。その目標は共有しなくちゃいけないけれども、アプローチの仕方はそれぞれの編集者が自分の責任でやりましょう、と。だから、どこから選んできても、どういう作品を作っても、どういうプロモーションをしてもいいんです。そういう方針でやってきましたので、逆に、細かいルール決めはなかったと思います。

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篠原 「『きらら』さんの編集方針は?」という質問をされることは多いんですけれども、それも編集者個々の考えを尊重しています。それぞれが考える「面白くてコミックスが売れる」作品を作家さんと作り上げようというのが基本方針です。絵柄に対するこだわりだけは、編集者みんなが共通してもっていますが、ちょっと難しいのは、編集者が気に入っても読者が気に入らない場合というのが往々にしてあるんですよね。そこはやはり素直に読者の好む絵柄を選んだ方が、今のところ結果は出ています。

――その中でなんとなく「きらら」のカラーみたいなものが出てきたんですね。

小林 特にカラーが固まってきたのは平綴じになった頃ぐらいからですかね。ただ、やっぱりカラーが固まってくれば、内側から、それを壊そうとする動きがでてきますし、そこからまた新しいものが生まれるという流れもあるんですね。編集者は、それぞれが面白いことをやりたいものなので、他とは違う作品で一つ当てたいという気持ちが出てくるんです。『ドージンワーク』などはそんな作品のひとつでしたね。この作品は『きらら』のカラーと思われてきた「萌え」のラインとは全然違うと思うんですよね。その新しいラインの判断が、編集者の個性といえると思います。

――作家探しはどのような形で行われるんでしょうか?

小林 ネットが多いですが、同人誌即売会にも行きます。あとは、力のある作者さんで連絡先のわからない方の場合は、出版社に連絡して教えていただくようなこともありますね。

篠原 雑誌や掲載作品の浸透とともに、声をかけた作家さんにも「読んでます」と言っていただける率が、だんだん高まってきている感じですね。最初の頃は「『きらら』ってどんな雑誌ですか?」なんてことも多かったんですけど。“持ち込み”も増えてきています。

――持ち込みでは、ストーリーマンガを描いていて、4コママンガに転向した人と、最初から4コママンガを志向されている人の割合はどのような感じでしょう?

うぃずりず 1(amazon)

うぃずりず(1)

©里好・芳文社

篠原 両方のパターンがありますね。でも、言っちゃうと、ストーリーがダメで4コママンガなら描けるだろうって来た人は苦労することになります。4コママンガには、発想のおもしろさというのが非常に求められて、それはストーリーマンガとは違う才能ですから。

小林 いわゆる「4コママンガ」の文脈を押さえて描かれてきている方のほうが、その後ののびしろみたいなものが期待できますね。

――持ち込みからデビューまで行くひとはどの程度いるものですか。

小林 結構います。たとえば、4月にコミックスが出た『うぃずりず』を描いている里好さんがそうですね。「きらスタ」という「きらら」の新人発掘企画の最初の人なんですけど、そこに出すまでに1年半か2年近く持ち込みを見てましたかね。

――作家と編集者とのやりとりはどのような形になるのでしょう?

小林 それは編集者によっても違いますし、作家さんによってもやり方は全然異なります。ネタ出しにイチから付き合う場合もあれば、出てきたものに対していろいろ言わせてもらうこともあります。

篠原 それと、作品立ち上げの時には“何を見せたいか”をすごく突き詰めてもらっています。4コマなので、何となく流れで描けば1本できるかな、みたいに始めると、あとでだいたいろくなことにならない。新人さんの投稿でもよくあるのは、いかにも「これは連載の一話です」みたいな内容を描いてしまうケース。キャラ紹介から始めて、キャラ見せを描いて終わり、みたいなものだと、やはり魅力に欠けてしまいますよね。

――実際の連載の初回ならともかく、いきなりそれは問題ですよね。

篠原 そうですね。この人が描けば面白くなるだろうという期待を込めて見てくれるものと、新人さんの作品がいきなり載るのとでは、読者さんの見る目の厳しさが違いますから。

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