ライトノベル&イラストレーション

■イラストレーター志望者に向けて

MF文庫Jでは、小説は公募新人賞「MF文庫Jライトノベル新人賞」を行っていますが、イラストに関しては新人賞を設けていません。 新人の発掘は、それぞれの編集者が独自に行っていること。三坂さんも精力的に、まだ見ぬ才能を探して、イベントやアマチュアイラストレーターのウェブサイトなどを閲覧しているそうです。

最後に、イラストレーターを目指す方々のために、編集者が注目するポイントとアドバイスをお訊きしてみました。

三坂:やはり、新しいイラストが載っていることが一番ですね。イラストレーターの中には、数年で全く絵柄が変わってしまう方もいらっしゃいますから。そして次に、掲載されているイラストの数が多く、更新頻度が早いということ。それは仕事が速いということですからね。やはり、仕事をしていく上では、ある程度の期間内にまとまった数のイラストが描けることが必要です。

蟲と眼球とテディベア
(amazon)蟲と眼球とテディベア

(C)日日日/メディアファクトリー
イラスト:三月まうず

ライトノベルのイラストを準備する期間は約1ヶ月。もちろん、みなさん平行して他の仕事もされていますから、実質的な作業としては早い方でだいたい1週間から10日間くらいでしょう。それだけの期間で、ライトノベル一冊分のイラストが描ければ十分、と言えます。

それから、やはりラフよりも完成した絵が見たいですね。ラフは、主線を決めず複数の線で描かれていますから、観る人が無意識のうちに、自分にとって一番気持ちいい線を見てしまっているんです。だから、ラフのままである限りは巧く見えてしまう。ところが、いざペンを入れるとなると、線が歪んだり微妙な脹らみが平坦になったり、と中々思い通りにいかないものです。ラフを沢山描くことで学べるものも多いので、それが悪いこととはいえませんが、やはり最後まで絵を完成させることが一番重要だと思います。あとは、ぜひキャラの全身まで描いてみてください。上半身とかバストアップしか描かない人をよく見かけますが、挿絵を描くためには、様々な構図が求められます。キャラの上半身しか描いたことがなかったら、絶対にバランスの取れた絵にならないんです。

イラストレーターになりたいという方は、とにかく絵を描くことが好きだ、という人たちだと思うんですね。それはとても良いことですので、ぜひ描き続けてください。プロになれるかどうかの境目は、才能よりも、絵を描くことを好きになれるかが大きいんです。中には、才能だけで描いてしまう人もいますが、ほとんどのプロの方は、絵が好きで好きで何枚描いても苦にならない人なんです。仕事で絵を描いてるんだけど、時間があったら趣味でも絵を描いてウェブサイトに上げてしまう。

描けば描いただけ巧くなる、手を動かさなければ絶対に巧くならない、というのが唯一の真理。イラストというのは、そういう職人技術なんです。だから、それが本当に苦にならない人、それがプロになれる人です。

インタビュー構成:前島賢(ライター)

ライトノベル系メディアミックスの新コミック誌 『月刊コミックアライブ』に注目!

コミックアライブ

今年の6月に創刊された『月刊コミックアライブ』は、アニメやゲーム、コミック好きな10代、20代のためのフレッシュなコミック誌。『ゼロの使い魔』をはじめ『陰からマモル!』『あそびにいくヨ!』『蟲と眼球とテディベア』など、MF文庫Jやアニメ、ゲームのメディアミックス作品が数多く連載されている。特にアニメ化もされた『陰からマモル!』は小説のイラストを担当するまだらさい氏がコミックも担当。ライトベルのイラストレーターからマンガ家へと活躍の場を広げている。

三坂泰二(みさか・たいじ)
リクルートにて『エイビーロード』『ゼクシィ』などの情報誌に携わり、2000年よりメディアファクトリー勤務。『コミックフラッパー』副編集長を経て2002年『MF文庫J』を創刊、編集長。2006年『コミックアライブ』創刊、編集長。
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