ライトノベル&イラストレーション外伝 消えたライトノベル作家その1 江古田東京砂漠にまぼろしのぶらじま太郎を見た!(総集編)

江古田東京砂漠にまぼろしのぶらじま太郎を見た!(総集編)

2.「明るいイデオン」で熱唱「アジバ3」!

『ガンダム』の時は、俺はあんまり一生懸命にやっていなかったんですよ。むしろその次の『伝説巨神イデオン接触篇/発動篇』(1982年)という映画だね。

ちょうど、大学五年生の時だったんですけど、まあ、ぜんぜん学校行ってなかったんで、卒業なんてできないと思ってた。そしたら、卒業式の二週間前になって突然、教授に呼び出されて「おまえ、卒論以外は単位取れてるけどどうするの?」って言われたのよ。で、ここで卒業しておかないと、来年出来るかどうかもわからない。そんなんで「卒業します!」って言っちゃったの。だけど、六年生やるつもりだったから、当然、就職活動なんかしていない。当然、先のことは決まっていなかった。

で、ちょうどそういう時に立ち上がったのが、『伝説巨神イデオン』の映画の企画。「まんが画廊」の常連連中と一緒に、サンライズに行ったら、その宣伝プロデューサーから「これからいろいろと盛り上げていかなきゃいけないんだけど、おまえらの中で暇なやつはいるか?」って言われたのね。そしたら、その集まりに来ていた全員が俺のことを指差したの。「こいつです!」って(笑)。んで「お前、来週から来い」って言われてサンライズに入った。入社と言っても期間限定で、今で言う契約社員みたいなもんだったけど。

で、宣伝をやることになったんだけど、当時、五、六誌あったアニメ誌にプレス資料を渡すと、載る記事が全部同じになってしまうのね。それじゃ、つまんないと思って、それぞれ違った情報が載るように、資料に手を加えはじめて、ひどいところになると俺の書いた文章がそのまま載るようになった。

あとは、普通の映画だったら情報流せばよかったんだけど『イデオン』は、「明るいイデオン」っていう、製作側とファンが一緒になって盛り上げようってイベントまでやったから、もう大変でさ。

「明るいイデオン」。

『伝説巨神イデオン』の内容があまりに悲惨で暗い内容であったことや、『機動戦士ガンダム』に比べて盛り上がりが足りないということから、劇場公開に先立ち、『イデオン』のイメージアップと認知度アップを図るため、製作サイドとファンが一緒になって繰り広げた一連のイベント群である。

ゆうきまさみや岡田斗司夫なども関与していたこの「騒ぎ」に、ぶらじま太郎氏は、いわばサンライズ側のナンバー2として参加していたと言うのだ。

「いや、本当にすさまじかった……」とぶらじま氏は語る。

ラジオ番組作ったり、テレフォン・インフォメーション(電話で聴く情報番組)作って回線パンクさせてNTTに怒られたり、晴海(東京国際見本市会場)で、三回ぐらいファン・イベントやったり……。

ゆうきさんをはじめ、関わってるのはめちゃくちゃな連中ばっかりだったし、さらにそこに、ファンの中でも目立つやつは、全部スタッフとして取り込んでいったから、ますますとんでもないことになってね。

ホント、最後のほうは死屍累々。二徹、三徹とかあたりまえだった。一晩、百万近くかかるビデオ編集のフロアを借り切って、みんなで寝てたりした。松竹のプロデューサーとか青くなってたもんな。すいません、もうとっくに予算、超えちゃってるんですが、と。いや、半年契約の若造にそんな相談されてもなぁ、と(笑)。

ぶらじま注:スタジオ一晩100万はかからなかったと思う。

最後は、三十分のテレビ特番まで俺たちで作って流したんだよ。もうろうとしながら「アジバ3」っていう、『無敵鋼人ダイターン3』のOPを『イデオン』に置き換えたパロディを作って唄ったり。まぁ、宣伝としては大赤字出したよね。でも、いいんじゃない? 俺のせいじゃないよ(笑)。

ぶらじま注:30分と1時間の2本作ったような気がする。

私の生まれた年に(インタビュアは82年生まれ)そんなことしてたんですか!

ぶらじま氏が歌ったという「アジバ3」は現在、Youtubeやニコニコ動画で観ることができる。いわば、サンライズ自作のMADムービー、とでも言うべきものだろうか……? みんなで、若き日のぶらじま太郎の歌唱力に聴き惚れよう!(ちなみ私も、ぶらじま氏唄う「アジバ3」をずっと聞きながら原稿を書いている。ところどころテンションのおかしいところがあれば、それはぶらじま氏のせいおかげである。)


ぶらじま注:アジバ3は主犯・知吹愛弓(アニメ監督 スタジオこあ)、歌は ぶ と愛弓の二人。ラジオ番組の 脚本なんかも みんな わしらででっち上げてた。他に東大生の作ったDOM短編映画を再編集して植田プロデューサーにナレーションさせたりしてた。

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