ライトノベル&イラストレーション外伝 消えたライトノベル作家その1 江古田東京砂漠にまぼろしのぶらじま太郎を見た!(総集編)

江古田東京砂漠にまぼろしのぶらじま太郎を見た!(総集編)

3.「バイファム・ニュース」のぶらじまバイファム

『伝説巨神イデオン』と「明るいイデオン」に関わった嵐のような半年のあと、ぶらじま氏は就職してサラリーマンになっていた。そんな氏に、突然、一本の電話が。アニメ『銀河漂流バイファム』(1983年)関連の楽曲を発売していたワーナー・パイオニア(現・ワーナー・ミャージック・ジャパン)がまたしても、宣伝部のライターを探しているのだという。

ぶらじま氏はそこで、ワーナー・パイオニアがレコード店などで配布していた『バイファム』のフリーペーパー「バイファム・ニュース」の執筆を手がけることになる。ところが、ここでもぶらじま節が発揮されることに。

なんと氏は、肝心の『銀河漂流バイファム』のアニメ本編をほとんど見ずに、この「バイファム・ニュース」を書いていたという。

だってさ、ビデオを送ってくれるとかじゃなくて、本放送を自分で観ろ、なんだよ。夜、家にいろとか、そんなの無理じゃん。サラリーマンだったし、飲みに行くよ、そりゃ。

当時はもう、家にビデオはあっけどさ、録画し忘れるね。もしくは録っても観ないね。

それで、一体、どうやって記事を書いていたのだろうか。時々、原稿料より多くの資料を買ってしまう私も見習いたいものである(嘘です、ごめんなさい)。

だから、『バイファム』の世界観とか各キャラクターの資料見て、自分なりの『バイファム』書いてたのよ。きっとこのキャラクターはこういうことをするに違いない! とかきっとこういう事件が起こるに違いない! だったら、こいつはこんなこと言うに違いない! とか。

だってしょうがないじゃん、本編観てないんだから、それ以外に書きようがない。クライアントがそれでいいって言ってるんだから俺の責任じゃないよ。ワーナー・パイオニアが、それを認めて勝手に印刷して、何万部って配ってるんだから。

さすがに、可愛がってもらってた、故・神田武幸監督に、一度「もうそろそろ主人公たち、地球に帰ったんですか?」(子どもばかりが乗った宇宙船が地球への帰還を目指すのが『バイファム』の物語であり、帰れちゃったらそこで終わりである)って聞いたら「おまえ、いいかげんにしろよ」とは言われたけどね、うん(笑)。

それは言われるでしょう、普通。 まあ、おおらかな時代だった、ということなのでしょうか。

でもね、それでも結構、反響あるのよ。キャラの一人が怪我した! とかいい加減なこと書くと、お見舞い品が届くし、バレンタインのチョコとかもくるし。ワーナーに、そういうのが段ボールで届いてたからね。『銀河漂流バイファム』じゃなくて、俺が「バイファム・ニュース」で適当に書いた、ぶらじまバイファムに対して。なんじゃこりゃー、と思った。

でもまあ、いまにして思えば、ある世界観を自分なりに再構築して物語を作ってたわけで、あそこで創作のてがかりというものをつかんだのかもしれない。

ぶらじま注:最盛期には 毎月段ボール箱で3箱の お便りが届いた。


なんだか、いい話にされてしまっているのだが、とりあえずそういうことらしいです。

当時の『バイファム』ファンの皆さん、特に、「バイファム・ニュース」の読者が、この記事を見て失望されないことを祈るばかりです……。


ぶらじま注:当時の読者は知っていたはず。 だって、見ていない事を紙面で公言していたから。

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