加藤アカツキ:ザンゾウアパートメント201号

第三回「初仕事(前編)」

今日も今日とてこんにちわ。加藤アカツキです、皆さん乗ってますか?(自転車に)

ちなみに先日僕はコケました。早朝の代々木公園で、そりゃもう見事に。

幸いかすり傷程度で済みましたが、例え怪我や病気で体が動かなくとも、代わってくれる人がいないのがこの仕事の厳しいところです。健康には十分に気をつけましょうね。

さて、前回はコミケ直後というタイミングもあって、連載第二回目にしてのっけから同人イベントという、イラストレーターとしてはある意味”裏の仕事”について語ってしまいましたが、いかがだったでしょうか。

反面、今回はイラストレーターとしては”表の仕事”、それもなんと初仕事!いかにして加藤アカツキはイラストレーターとしての仕事を始めるに至ったのか?について語らせていただきたいと思います。

心霊探偵八雲

まず、そもそも”どうやったらイラストレーターになれるのか?”気になっている方も多いでしょう、多いはずです!

まぁ駆け出しの僕があまり偉そうに語れることではありませんが、思うに、”僕、あるいは私はイラストレーターです!”と、世間様へと声高らかに宣言し、絵を描くことに関する仕事を”請ける覚悟”を決めた瞬間、その人はイラストレーターになるのではないでしょうか。

それは初仕事を受けてデビューした瞬間からじゃないの?と思う方も多いと思いますが、それは単にタイミングが同期するケースが多いだけだと思います。

いきなりですが、魚屋さんを例に挙げて例えてみましょう。コンビニでレジ打ちのバイトをしている青年が、ある日突然、”君、魚を売ってくれよ”なんて言われることはまずありません。魚屋の看板を掲げ、店を構えてから初めて魚を買ってくれる人が現れるのです。

まぁ厳密にはイラストレーターは魚屋ではありませんのでね、ちょっと絵が描けるだけの物理学生がいきなり、”君、絵を描いてくれよ”、なんて頼まれるケースも無いとは言い切れません。ですが、基本的には”俺はイラストレーターだ!”と言って、屋号を掲げ、仕事を取るために営業活動を始めた時点で、その人はイラストレーターなのではないかと思っています。

ただ、それでプロであるとか、食えているかはまた別の話なんですけどね。

とまぁ、前置きはこれぐらいにいたしまして、本題に入らせていただきます。

第一回目のコラムにも書きましたが、初仕事を頂いた当時、僕は理工系の大学でレーザーの研究に勤しむ傍ら、アミューズメントメディア総合学院キャラクターデザイン学科の1年生として、絵に関するあれこれを学んでいました。その年、2004年の10月、いやさ11月頃だったでしょうか。入学して半年ちょっと経過した頃に、とある出版社様からうちの学院に、”ある本の装丁画を描いてくれる人を探している”と言って、コンペのお話があったのです。

コンペと言うのは、複数の人に指定のトライアルをしてもらい、その中からクライアントさんが気に入った人を選出するというもので、まぁ言ってみればオーディションのようなものでしょうか。

広告業界、建築業界などでは日常的によく聞く言葉ですが、もちろんイラストの世界にでも、プロ・アマ問わず、コンペの機会はたくさん存在します。

話を戻しますが、この”ある本”、と言うのが、このとき既に第1巻が4万部の好セールスを売り上げていた人気作品、神永学著、「心霊探偵八雲」だったわけです。そして、我々がコンペを受けることになったのは、この続編となる第2巻からの装丁画を描く人を選出するためだったわけなんですね。

心霊探偵八雲〈2〉魂をつなぐもの

なので、まずは既に用意されている第1巻を受け取り、内容を読み、自分の中でキャラクターのイメージを固めると、イラストを描き出して先方に提出しました。

そうやって同じようにコンペに応募をした何人もの挑戦者たちの中から、ありがたいことに文芸社様よりご指名を頂くくだりとなったわけなんですが……。

なんと!実は僕以外にも、もう一人このコンペに選出されていた方がいらっしゃったのですよ。

しかも、その方は僕と同じキャラクターデザイン学科の同級生。年齢は僕よりもずっと若いのに、クラスの中でもずば抜けて絵の上手い方でした。学院卒業後も多方面でご活躍のようで、そりゃまあ選ぶ側も放っておく手はありませんよねぇ。

しかしまぁそんなわけで、一つの仕事に描き手が二人!こりゃ当然、その中からどっちかに選ばなけりゃあならん!てなわけで二人揃って文芸社の編集部に呼ばれることとなったわけなんですが……!

と、せっかくこれからが良いところなんですが、ちょっと長くなってしまったようなので、この続きはまた次の更新で!ってことでね、ご期待くださいませ。

それでは皆さん、次回が合ったらまたお会いしましょう。

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加藤アカツキ(かとう あかつき)
加藤アカツキ
静岡県浜松市出身、東京都杉並区在住。
明治大学理工学部にて物理学を学ぶ傍ら、アミューズメントメディア総合学院キャラクターデザイン学科に入学。在学1年目よりフリーランスのイラストレーターとして活動を始める。以後、書籍カバー、キャラクターデザイン等を中心に活躍中。
残像アパートメント(http://www.k3.dion.ne.jp/~zanzo/)
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