加藤アカツキ:ザンゾウアパートメント201号

第十六回 「特色印刷」

今日も今日とてこんにちわ、加藤アカツキです。みなさん、乗ってますか?

今年もツール・ド・フランスが始まりましたね。

引越してからスカパーの契約をやめてしまった僕はリアルタイムでの観戦ができないので、あとからDVDでまとめて見る予定です。

てなわけで、”逆に”溜まった仕事も順調に消化中ですよ。

前作:少女サイクル
図1 前作:少女サイクル

え~、早速ですが先月紹介させていただいた、ワニマガジン社より刊行予定の「少女自転車解放区(仮)」について、ちょっとスケジュールの都合で発売日が延びてしまいました。

現在秋頃の発売に向けて調整中ですので、また発売日が近づいてきた頃に、さらに詳しい内容について触れたいと思います。

楽しみにしてくださっている方、お待たせしてしまって本当に申し訳ございません。

そんなわけで今回は予定を変更して、「特色印刷」について語らせていただきたいと思います。

まずは皆さんご存知の通り、われわれオタク業界の人間にとって、夏の祭典と言えばコミックマーケット、略してコミケ!ですね。

そりゃ一体なんぞや? と思われる方は、本コラム第二回「夏の風物詩」をご覧くださいな。

今年も私、加藤アカツキ率いるサークル「残像アパートメント」は、夏のコミックマーケット、及びコミティアに出展の予定でございます。

もちろん全日本国民待望(?)の新作同人誌も引っさげてまいりますので、詳しくは文末のサークル情報、及び僕のHPをご参照くださいませ。

さて、肝心の同人誌の内容についてですが、昨年ご好評を頂いた自転車イメージガール本「少女サイクル(図1)」の第2弾、その名も「少女サイクル Second Coming(図2)」を鋭意製作中でございます!

前作に劣らず、筆者(僕)の自転車にかける愛と妄想を忠実に具現化した力作となっておりますので、皆さんご期待ください。

ちなみにその同人誌の表紙についてですが、見ての通り、前作を踏襲したデザインとなっているのがわかりますね。

しかし実際に印刷されたものは一味違います。

なぜなら今回は特色の蛍光ピンクを加えて5色印刷をしているのですよ。

ちなみに一般的な商業印刷は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを使って刷られているのはご存知でしょうか。

何故ブラックが「K」なのかと言うと、「Blue(ブルー)」と混同してしまわないように、Blackの末尾をとって「K」としているんですね。

これらCMYKのうち、C、M、Yをとって、色の三原色と呼ばれています。

特に絵を勉強していない方でも、小学校の美術の授業で、青、赤、黄色の三つの絵の具を使って様々な色を表現できるということを学んだことだと思いますが、あれと同じ原理ですね。

理論上はこの三つの色で黒も作れるはずなのですが、インクの特性上、これらを混ぜ合わせただけではどうしても綺麗な黒を作ることはできません。

なので、商業印刷ではさらに黒いインクを一色追加して、四色の版で印刷をするのが主流となっています。

そして、この”黒色”同様に、三色ではどうしても表現できない色が多々存在します。

なぜならインクや絵の具は、混ぜると色の鮮やかさが失われてしまうという特性があるからです。

昔、青色絵の具と黄色絵の具を使って緑色を作った経験がある方は、あの緑色はなんだか暗い緑色だったような覚えはないでしょうか。

さらにそこに赤色を適度に加えると、色はどんどん黒に近い灰色っぽい色になっていきますよね。

前作:少女サイクル
図2 新作:少女サイクル Second Coming

このように、絵の具は混ぜれば混ぜるほど鮮やかさが失われていきます。

では、色鮮やかな色彩を表現するにはどうすれば良いのか?

簡単です。

最初から鮮やかな絵の具を、追加で足してやれば良いのです。これが、商業印刷の間で言われる特色印刷というものです。

つまり、今回は背景に綺麗なピンク色を表現したかったので、CMYKの四色に加えて、鮮やかな蛍光ピンクのインクを一色加えたということです。

ちなみにこの蛍光ピンクは、いわゆる萌え系イラストに代表される綺麗な肌色を表現する際によく使われていますので、漫画業界では昔からなじみの深い色だったりします。

ともあれ、だったら印刷のときにはどんどんと綺麗な特色インクを使えば良いじゃんか、とお思いになられるかもしれませんが、使用するインクや版の数を増やすほど、やはりそこは追加で予算がかかってしまうのです。

つまり今回の同人誌は前回と同じフォーマットを利用しつつも、それを上回る制作費を投入して作られているのです。

そんなわけで前回上に気合いを入れて作った「少女サイクル Second Coming!」、一度実物を手にとって、発色の鮮やかさを確認していただけたら嬉しいですね。

それでは次回があったらまたお会いしましょう。


加藤アカツキ(かとう あかつき)
加藤アカツキ
静岡県浜松市出身、東京都杉並区在住。
明治大学理工学部にて物理学を学ぶ傍ら、アミューズメントメディア総合学院キャラクターデザイン学科に入学。在学1年目よりフリーランスのイラストレーターとして活動を始める。以後、書籍カバー、キャラクターデザイン等を中心に活躍中。
残像アパートメント(http://www.k3.dion.ne.jp/~zanzo/)
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