「糸曽賢志の一方通行なおしゃべり」

第五回「コルボッコロの制作体制」

コルボッコロ設定

皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。糸曽 賢志(いとそ けんじ)です。

今日は、ボクが現在制作している「コルボッコロ」についてお話したいと思います。

この『コルボッコロ』という作品は、8年位前に思いつき、その時からずっと映像化したいなあと思っていた作品。

最初は、友人たちと落書きをしているうちに思いつき何となく世界観を創っていた感じなのですが、そこから何年もたったある日「一人で作ってみよう」と思い立ち、黙々と制作を始めました。

最近になって「動画革命東京」という公募企画に合格し、予算が下りることが決定しました。

お金が出ると決まった時「嬉しい」気持ちと「完成させられなかったらマズイという不安」な気持ちが大きくなったのを覚えています。

予算が下りるなら「半年で作れます」と言ってしまった以上、考えていても仕方ないので早速制作体制を整えることに。

基本的にボクは「有言実行タイプ」というか、はじめに話を大きく言って、後からそれを実現するために慌てるタイプなのです。

「不言実行」が一番憧れのカタチと思っていながらついつい言葉が先に出てしまうのですが、最近はそれでもいいかなって開き直っています。

早速「キャラクター」「色設定」「背景美術設定」「イメージボード」「脚本」「絵コンテ」など、なるべく自分一人でやろうと思って制作開始。

けれど、せっかく予算が出たのなら少人数でもいいからメインスタッフは固めようという話になり、普段からお世話になっているアニメのプロデューサーさんにお願いしてアニメスタジオに席を用意してもらい、作画監督と美術監督を探すことにしたのです。

その頃、たまたま見かけたアニメ関連のパンフレットに載っていたイラストをボクが気に入ったので、その作者を知り合いづてに紹介してもらいました。

その方と話しているうちに企画に興味を持っていただけたので作画監督をお願いし、ボクの描いた「キャラクターの原案」「脚本」「イメージ」を渡し、キャラクター設定などを描いていただくことに。

背景美術に関しても、ボクがまず「イメージボード」と「絵コンテ」を用意しそれに合わせて背景設定をお願いしました。

コルボッコロ美術設定

作画監督さんは若手で、美術監督さんはドラえもんの長編なども手がけるベテランさん。ここにも載せていただいている絵が出来上がってきている設定の一部です。

連日に及ぶ徹夜続きの甲斐もあって絵コンテが終わり、それを全て撮影して編集する「動画コンテ」も終了。 本当に孤独な作業でしたが、無事予定通り終わってくれて一安心です。

そういえば、絵コンテ作業の真っ只中に、昔ボクが宮崎駿監督のもとで演出を勉強していたときの同期の方からメールをいただきました。

『天保異聞 妖奇士』というテレビアニメの演出と絵コンテを担当したので是非見てください、という内容だったので早速拝見。

とても面白く見れました。

あまり偉そうなことは言えませんが、何より随所に実験が見受けられて、その姿勢に好感というか共感というか、そんな感情と尊敬の気持ちを抱きました。

『交響詩篇エウレカセブン』や『オーバーマン キングゲイナー』など色々な大作の演出、絵コンテを担当していたりと、知り合いの活躍は刺激になります。

ボクも頑張ろう!という思いで『コルボッコロ』の作業にラストスパートをかけたのを覚えています。

今はその他の設定関係も、ほぼ終了したのでレイアウト作業と原画に突入中。総カット数は370カットで、今のところ原画はボクも含め2、3人で全部描くつもりです。

動画枚数は、かなり多そうなのでどうするか考え中。

今回制作しているのはあくまで総尺30分のパイロット版なので、世界観の説明がメインで物語の一部しか完結はしない構成にはなっていますが、それでも見ていただける方に楽しんでいただけるようになっていればと思っています。

それにしても、30分ってホント短い。

描けることに限りがあり過ぎて、悔しくなります。

そんな感じで頑張っておりますので、完成したら是非皆さんも見てくださいね~。

今回は、自分の制作話ばかりでしたが、アニメの制作についてすこしでも皆さんの参考になれば幸いです。

それでは皆様、またお会いしましょう。

いとそ けんじ

糸曽 賢志(いとそ けんじ)
糸曽 賢志
1978年、広島生まれ。東京造形大学在学中に、アニメ制作会社でアニメーション制作に参加。 20歳で巨匠宮崎駿の弟子となり、ジブリ演出を学ぶ。 大学卒業後はゲーム会社に入社し、イラスト、グラフィックデザイン等に従事。 現在はフリーの映像作家として実写・アニメーションを中心に活動している。 2005年より早稲田大学、本庄市、日本映画監督協会の支援を受けて個人アニメーション制作に 取り組みつつ、早稲田大学内に置かれた自らの研究室で、映像を研究。 文化庁新進芸術家国内研修員にも認定されており、今、最も期待されている若手映画監督の一人である。
加藤英美里×糸曽賢志アニメ 『コルボッコロ』完成インタビュー
クリエイター糸曽賢志がもっとよくわかる!ロングインタビュー
糸曽賢志オフィシャルウェブサイト(http://www.itoso.net/)


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